基本的な考え方たたき台
函館市教育委員会は市内の博物館と博物館類似施設、合わせて5カ所を統合する仮称・総合ミュージアムの新設を構想している。整備に当たり「基本的な考え方」のたたき台を公表。拡張現実(AR)などの導入や体験型の展示といったコンセプトを明らかにした。整備時期や規模、建設地などは今後の議論で固める。
23日の市議会総務常任委員会委員協議会で、川村真一生涯学習部長が説明した。
博物館法に基づく函館博物館(青柳町17の1)、博物館類似施設の北洋資料館(五稜郭町37の8)、郷土資料館(末広町19の15)、北方民族資料館(同21の7)、文学館(同22の5)が集約対象だ。
いずれも建設年次が古く、歴史資料の保管に課題を抱えている。市は資料について「市民の共有財産であり、古く貴重なものが多い」とし、適切な温湿度管理のもとで後世に継承する必要性を指摘している。
これらを統合した博物館の設置方針は、1991年策定の市社会教育施設整備構想に盛り込んでいたが、具体的な検討が進んでいなかった。「準備には相当な時間がかかる」として議論に着手することにした。
コンセプトとして博物館法が規定する、歴史、文化、産業、自然などの展示機能を第一に、適切な温湿度管理やユニバーサルデザインの採用など人、資料双方に優しい施設を掲げた。AR、仮想現実(VR)や多言語解説の導入、修学旅行生などに向けた体験の場の提供も目指す。
市はたたき台について市民や市内経済団体、観光団体など50者余りから意見を聴取し、基本的な考え方を成案化。その後、協議会などの議論の場を設置して、整備構想の策定に移る。
整備時期などは白紙で「公債費残高など財政状況を見極め、市民と協議を重ねながら検討する」(川村生涯学習部長)としている。