原料調達難や原油上昇など
ロシアのウクライナ侵攻による影響が道内企業にも徐々に広がっている。分野は農林水産業、製造業、観光業、運輸業などと幅広く、内容も原料の調達難や原油価格の上昇、取引減少と多岐にわたる。こうした現状を踏まえ、道と道経済産業局はロシアビジネスに関わる道内企業の現状・課題などを共有するため、26日にオンラインで情報交換会を開催。ロシア経済の見通しについて北大スラブ・ユーラシア研究センターの田畑伸一郎教授は「現時点で大きなダメージは受けていない。経済制裁の影響が出るのはこれからで、その程度は西側諸国への石油・ガス輸出がどうなるかで変わる」との見方を示した。
情報交換会には商社やメーカー、商工・経済団体などから約80人が参加。はじめに、田畑教授がロシア経済の現況と見通しを示した。
現時点でロシアに制裁の大きな影響はなく、貿易は石油・ガスの価格高騰により輸出が増加。しかし鉱工業生産量を見ると、西側諸国企業の撤退で製造業の自動車、電気機械が減少しており、ハイテク製品の部品などでも西側諸国企業からの輸出停止の影響が今後出てくるとみられ、生産が上向くとは想定しにくいとした。
今後について田畑教授は「西側諸国の石油・ガス輸入禁止措置が確実に実施されるかによるが、ロシア経済は2―3年くらいでかなり困難な状況になり、停戦となる可能性は十分にある」と述べた。
続いて道が、日ロ双方の制裁と報復措置の概要や道内経済、物流への影響を説明した。北海道商工会連合会が企業ヒアリングした結果を披露し、日本貿易振興機構(ジェトロ)北海道貿易情報センターがロシア進出企業の影響を分析。
影響を受けているのは、直接ロシアと取引していない企業も含め農林水産業、製造業、観光業、運輸業など幅広い。内容は原料調達、取引減少、エネルギー関係の価格上昇、現地駐在員の引き上げなどで、情報交換会では銀行決済に関する質問も寄せられた。
道や道経済産業局が相談窓口や融資、補助など本道企業への各種支援施策を紹介。今後も各関係機関が連携しながら企業をフォローアップしていく考えだ。