安全・品質落とさず受注量確保
4月1日付で安藤ハザマの札幌支店長に就任した。コロナ禍や資材高騰など受注に向けたかじ取りが難しい状況にあるが、高速道路のリニューアル工事や札幌・函館エリアの民間建築などをターゲットに定め、現場の安全管理、品質管理のレベルを落とさずに受注量の維持を目指す。(建設・行政部 大坂力記者)
―支店長就任の抱負を。
今回、初めて支店長という立場となる。建築の施工をしてきた技術者としてのキャリアをどう生かすか考えながらやっていきたい。
―本道の勤務は初めてとのことだが、北海道の印象は。
本州の他支店に比べると冬季のハンディキャップがある。施工生産性について対策を考えていかなければならない。
観光客の動向が北海道経済に与える影響は大きいという印象がある。ここ2、3年は観光客がいなくなった状態で経済的に厳しい。長引くコロナ禍とウクライナ情勢で世界経済が非常に厳しさを増す中、逆に円安で輸出系の企業や本州に拠点を持つ企業が北海道に進出する可能性があり、農産物や酪農関連は設備投資意欲が高まらないかという期待感はある。
タイミングがいつかを図ることは難しいが、コロナ禍が収束して普段通りに観光客が行き来できるような状況が戻ってきたときに、古くから付き合いがある顧客の設備投資意欲を見極めながらニーズに応えられるよう、機を逸しないよう準備をしておかなければならない。
―資材の高騰をどうみているか。
鉄骨や鉄筋の価格高騰が継続し、半導体の供給不足で関連製品が入らないという状況が去年辺りから顕著になっており、企業努力では吸収しきれない厳しい状況が懸念される。現状を認識し顧客には状況を丁寧に説明し理解を求めていくなど、お互い十分に協議を重ね協力を呼び掛けていく。
―これからの営業戦略を。
土木は、北海道新幹線のトンネル工事や、札樽自動車道、道央自動車道で老朽化した橋梁床版取り換え工事などを手掛けている。トンネル工事では当社の強みである技術力を生かして着実に受注に結び付けられたら。高速道路のリニューアルは今後も継続的に発注が見込まれるので、道内市場を踏まえて施工中の工事については日々、安全管理や品質管理を徹底して無事故無災害で完成させ、新たな受注につなげていきたい。
建築は、JRA施設や食品関連施設工事などを手掛けているが、古くからの顧客を中心とした工事が多い。施工余力や採算性などを見極めながら適正な受注量を安定的に確保したいと思っている。エリアとしては札幌と函館に注目している。
ニセコなど海外資本のリゾート開発は、コロナ収束後に需要が高まると思うが、そこは無理をせずに慎重に物件を見極める。
―営業目標としては。
札幌支店の受注量は、安定的でなく年度でばらつきがある。その波をうまく受け止めながら、むらなく毎年安定的に受注できる営業を考えていかなければならない。現場の安全管理、品質管理のレベルの維持・向上を怠ることがないよう対応可能な施工体制を確保しつつ、適正な受注量を維持する。
―就任日当日は社員にどんな言葉を掛けたか。
「安全の反対は危険ではない。無意識、無関心だ」という話をした。これは安全だけでなく品質や環境、コストでも同じことが言える。「何かおかしいな」「これでいいのかな」という感覚を持っていないと大きな見落としをする。このことは意識付けていきたいと思う。