
新井修社長
最適な所有地活用法模索
パチンコホールプレイランドハッピーなどを経営する新和ホールディングス(本社・札幌)は、不動産事業に注力する方針だ。遊技人口減少やコロナ禍を受けて縮小するパチンコ業界のマーケットを補う新たな柱と見る。新井修社長(68)に今後の展望を聞いた。
―札幌市内で物件開発を始めた背景は。
当社は店舗を含め、札幌市内だけで15㌶ほどの土地を所有している。主要なJR・地下鉄駅周辺などの立地もあり、それぞれ最適な有効活用方法を模索している段階だ。
まずは東区北40条東15丁目534の1の所有地で91戸の賃貸マンションを新築する。24年2月末に完成する予定で、初めての自社開発物件となる。この物件に対するニーズや反応が、今後の所有地活用を占う試金石となるだろう。
―どのような不動産事業を描くか。
売却ではなく長期保有を前提とし、その収益を札幌市内での自社物件開発や東京都内での既存物件取得などに注ぐ。安定した収益基盤を構築し、アミューズメント事業を補完する第2の柱としたい。
東京都心の投資対象も拡大する。3棟のオフィスビルを所有するが、今後はレジデンスなども対象に見ている。
―航空機リース事業の状況は。
購入した航空機をリースし、賃貸収入を得る事業で不動産賃貸業と似ている。当社の航空機リース事業は、1992年に全日空向けなど複数のリース案件に出資したのが始まり。いずれも10―12年のリース期間満了をもって機体を売却した。
今回は2019年にボーイング社製737MAX8、22年3月にエアバス社製A321neoを購入し、世界有数の航空会社であるアメリカン航空とリース契約を締結した。どちらも最新鋭旅客機で不動産に比べて投資利回りが優位だ。
コロナ禍による航空旅客機需要への影響は一過性で、今後も成長可能な分野とみている。安定したリース収入が確保できていて、第3の事業の柱として今後も保有機体を増やしたい。
―パチンコ業界は厳しい状況なのか。
1990年代に3000万人前後とされていた遊技人口は、2020年には710万人まで減少したと推計されている。
4年前のいわゆる「出玉規制」により人気機種の旧基準機が相次いで撤去となり、来店客離れが進んだ。そこにコロナ禍が追い打ちをかけた格好だ。緊急事態宣言下での休業や外出自粛ムードが続いたことで、高齢者層の客足が遠のき、その層の回復が鈍いと感じている。
新基準機の導入や分煙対応などの設備投資負担も重く、業界全体が疲弊している。全国各地でパチンコホールの閉店・撤退が相次いでいる。
新規出店についても少子高齢化や遊技人口減少、土地取得費や建設コストの高騰などがあり、あまり期待できない状況だ。店舗の新築は減り、居抜き出店がメインになるのでは。当社は居抜きも含めて好立地の場所があれば出店する考えだ。
業界に変化を起こしそうなのは、早ければ年度内に導入されるパチンコ玉やメダルが電子化された次世代遊技機「スマートパチンコ・スマートパチスロ」だ。多額の導入費用が強いられるが、新たな顧客獲得のチャンスととらえることもできる。次世代遊技機による影響を注視し、持続可能な店舗経営を目指す。
(聞き手・宮崎嵩大)