基地港湾指定が前提
室蘭市は、室蘭港の洋上風力発電拠点化等に向けた支援を国に要望している。海洋再生可能エネルギー発電設備等拠点港湾(基地港湾)指定が前提。崎守埠頭を拠点化した場合の既存利用者の代替施設確保などを求めている。室蘭地方総合開発期成会の2023年度重点開発要望に新規で盛り込んだ。

洋上風力発電拠点化への期待がかかる崎守埠頭
市は室蘭港の港湾管理者として基地港湾指定を目指す。基地港湾は洋上風力発電施設の部材を扱うため、港湾機能として大型貨物船が接岸可能な大水深岸壁や、作業スペースとなる広大な背後地が備わっていることが求められる。
室蘭港は崎守埠頭と祝津埠頭が条件を満たすとされるが、基地港湾に指定された場合、発電事業者と国土交通省との間で最大30年間の長期貸し付け契約を交わし、発電事業者が岸壁を占用する形となる。
祝津埠頭は、クルーズ船が寄港するなど年間を通して多目的に利用する方向性が決まっているため、発電事業者による占用は難しい。市港湾部では「室蘭港内で拠点化に向けた施設となりうるのは崎守埠頭」と話す。埠頭に隣接して楢崎製作所や五洋建設室蘭製作所なども立地する。
崎守埠頭の岸壁延長は1500m。北外防波堤基部側から1号岸壁(水深10m、延長185m)2号岸壁(同)、3号岸壁(同)、4号岸壁(水深12m、延長240m)、5号岸壁(同)、6号岸壁(水深14m、延長280m)、7号岸壁(水深10m、延長185m)があり、背後地は17haに上る。
要望によると、崎守埠頭を拠点化した場合でも荷役をしている企業が岸壁使用を継続できるよう代替施設の確保を求めている。拠点化するのは一部の施設で、コンテナヤードとして使用頻度が高い6号岸壁は「占用は難しい」(同部)という。
このほか、長期的な取り組みとして、水素などの国際輸送ルート検討時に室蘭港の活用を要望。同部では「港内は静穏度が高く水深が備わっている。大型船で輸送可能なためコスト面で貢献できる」と期待する。