ほ場集積、区画拡大が必須
道内の2022年度の主食用米作付け面積は、21年産実績比5.6%減、4918ha減の8万3482haとなる見通しだ。食生活の変化から作付け面積は伸び悩むが、備蓄米や輸出米の生産拡大などで水田の面積はあまり変わらず、営農形態は大規模化の傾向にある。後継者不足から耕作機械を自動化するスマート農業が進む中、農業農村整備は効率的で合理的な営農に貢献できる大区画化や用排水路の大規模化などが求められるようになっている。
作付け面積見通しは、全道118の地域協議会への意向調査に基づき、北海道農業再生協議会水田部会がまとめた。道の主食用米作付け21年産実績比5.6%減は、国が要望する3%減を大きく上回っている。
主食用米の需要は全国的に減少傾向にある。ここ10年間で年に10万㌧程度のペースで減り続けている。需要を超えて生産すると値崩れを引き起こす恐れもあり、国は生産抑制と他作物への転換を推奨してきた。
農林水産省が2日に公表した全国の水田作付け意向調査(4月時点)では、本道を含む37道府県が21年産実績より減少するとの見通しを示した。うち5%以上減少するとしたのは本道と宮城、栃木の3道県だった。
農水省は、22年度に全国で主食用米作付け約3万5000haの減少を見込む。さらに、3万9000ha減少に向けて、促進が必要とみる。
しかし、水田は一度水を抜くと水田に戻すのは難しい。水田を維持するため、飼料米や新市場開拓用米、備蓄米などへの転換を進める農家もあり、道内ではいずれも21年産実績に比べ22年度の作付けが伸びる見通しだ。
ただ、営農者が減少傾向にある現状では、一戸の農家が所有・管理する農地の面積が広大化したり区画が細かく分かれたりしていることから営農効率が悪くなりがちだ。これを改善するため、道は各地でほ場の集積や大区画化に取り組んでいる。
併せて、トラクターの自動運転技術などを活用するスマート農業の導入に向け、農地の拡大や用排水路のパイプライン化などの改良が必要になる。各地からの要望も高まっているところだ。
高収益な野菜などを交えた複合営農にも適応できるよう、排水施設改善といった農地汎用化に取り組む基盤整備も登場している。
いわみざわ土地改良推進事務所の平田元春工務課長は「パイプラインを整備すれば、スマートフォンで給水管理ができるようになる。暗渠排水の集中管理孔を導入し米の直播(はん)を効率的に実施している地区もある。いずれの整備も地元から要望が高い」と効果を語った。
鈴木直道知事は3日の知事会見で「道産米の消費拡大に取り組みたい」と前向きな姿勢だ。農地整備による多様な作物の栽培に適したほ場整備に期待が寄せられている。