閉ざされた大動脈 乙部町229号岩盤崩落から1年

 国道229号乙部町館浦の岩盤崩落から6日で1年がたった。この間、所管する函館開建は安全を考慮し、現道での復旧ではなく新たなトンネル掘削を決めるなど、大きな動きもあった。しかし、開通はまだ先の話で地元は我慢を強いられる状況が続く。地域経済に与えた影響や関係者の努力をひもとき、防災・減災や将来のこの地域の在り方を考える。(函館支社・鳴海 太輔記者)

閉ざされた大動脈 乙部町229号岩盤崩落から1年(中)応急短絡路整備に全力

2022年06月10日 11時00分

24時間体制で昼夜問わず施工 住民の不便解消へ短期で完成

 岩盤崩落の発災当日、函館開建には衝撃が走った。日曜日で休日だったため、自宅で夕食の準備をしている中で一報を聞いた職員もいた。当時、函館に赴任して間もなかった武田祐輔道路計画課長は、「人が被害に遭っていないか確認を待っている間が特に緊迫していた」と振り返る。

 翌日以降、調査や住民との対話のため足しげく乙部町へ通った。説明会を開くだけでなく、地域の商店、飲食店などにも個別に足を運び、窮状を聴き取った。

 「発災直後は、このままでは店がつぶれてしまうぞ、と厳しい声もあった」という。開建としては個別の事業者へ手当をするすべがないことから、経済対策につながるよう、町などへの情報伝達に努めた。

 応急短絡路の整備には、松本組(本社・函館)と斉藤建設(同)が尽力。地域住民の不便を解消するため、「何としても2021年度内に完成させる」という目標の下、21年9月中旬から22年3月末までという短い工期を設定した。

 両社が南北2工区に分かれ、3交代勤務による24時間体制を敷いて昼夜を問わず施工した。この冬は雪が多いなど気象条件が厳しく、狭く曲がりくねった土地で施工条件も悪かった。そうした中でもICT建機の活用や徹底した安全管理で工事を完遂した。

松本組、斉藤建設が施工した応急短絡路。
短い工期の中で住民の当面の生活基盤となる道を造り上げた

 いずれの工区も、21年度の函館開建発注工事の施行成績評定では最高点の82点を獲得。「技術力と調整力を高く評価した」と武田課長は話す。

 国道229号の維持・除雪を担う道南土木(本社・江差)は災害発生直後にも迅速に対応。無人油圧ショベルによる土砂の除去に取り組んだ。

 さらに、229号に編入した地域内迂回路も維持・除雪の対象範囲に含めたため、北海道開発局から非常時に備えて保有する除雪車を借り受けて体制を増強した。

 地域内迂回路はカーブが多く、住民からは「冬は怖くて走れないかも」との声も聞かれた。しかし、実際は除雪のレベルは高く「住民の不安を解消してくれた」という。施行成績は最高点に次ぐ81点に輝いた。

 恒久復旧としてのトンネル掘削は22年度、乙部防災として新規事業化が実現。調査・設計が中心となる1年目の予算としては通常よりも多額の2億7000万円が配分され、早期着工に弾みがついた形だ。武田課長は「地域の方が連携して声を上げたことで、その思いや尽力が国土交通省本省にも届いたのでは」としている。

 岩盤が崩落した施工面は、層状にさまざまな岩が堆積している地形のため、必要な工法や坑口位置の選定には慎重を要する。重金属の含有状況も未知数だ。

 ただ、現道では1987年に館の岬トンネル(延長462m)を完成させた実績がある。「予算をしっかり活用し、今後の調査結果と過去の知見も生かしながら、一日でも早い開通を目指す」と意気込む。


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