深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り ダイゼン 柴田貢社長

2022年06月08日 12時00分

柴田貢社長

コスト圧縮で出店継続へ

 スーパーマーケットを展開するダイゼン(本社・鷹栖)は、徹底した経費削減と低価格路線で店舗の売り上げを伸ばし、大手チェーンに比肩する商圏を作りつつある。コロナ禍による購買行動の変化はスーパーにとって追い風と見る柴田貢社長(62)に強みや展望を聞いた。

 ―新築中の仮称DZマート豊岡6条店は旭川市内で10店舗目、約4年半ぶりの出店となるが。

 豊岡エリアはスーパーマーケット空白地帯のため、かねて出店したい場所だった。旭川環状線沿いに良い土地が見つかったため出店を決めた。商圏人口は5万人を見込んでいる。交通アクセスや商圏を考慮すると、当社としては旗艦店となる。

 ―道内で21店舗展開している強みは。

 もともと当社は、小規模商店が商品を仕入れるための現金問屋として1974年に創業した。その後、卸売業から小売業に転換を図った。当初は酒類のディスカウントストアをチェーン展開していたが、来店頻度を上げるため生鮮品を強化してきた。現在の生活便利店の形式になったのは、2010年にDZマート1号店を旭川市春光でオープンしてからだ。

 旭川を中心に店舗を増やしつつ斜里や美幌、枝幸など低価格スーパーの競合が少ない地方にも進出した。「平日は地元で食品を買いたい」という需要に目を付けた。

 昨年は空知管内初の芦別店をオープンさせた。近隣にはマックスバリュや道北アークスのラルズマートといった大手の店舗があるが、新築で出店したことで想定を上回るペースで売り上げが伸びている。人口が少ない場所でも、大手がこれから出店しない地域では勝負できる。しかし資金面で簡単に新築店舗を作ることはできないため、居抜きと新築を組み合わせて店舗数を増やしている。

 ―どのように低価格を実現しているか。

 オペレーションコストの圧縮に努めている。作業の中で、最も時間や人員を割いているのが品出し。1回の納入量が多いと陳列や後片付けにコストがかかるため、毎日配送してもらうことで納入量を平準化している。

 店舗段階で複雑な作業をさせないことも重要だ。自動発注システムやセミセルフレジの導入のほか、生鮮品も店内調理はせず、陳列すれば完結する状態にしている。日中でも2、3人のスタッフがいれば店を運営できる。

 ―コロナ禍での変化は。

 内食需要の増加も手伝い、スーパーマーケットには追い風だ。ガソリン価格をはじめ商品の値上がりが続き、消費者の価格志向が強まった結果、低価格路線の店舗が売り上げを伸ばしている。

 一方、インバウンド需要が大幅に減り、ドラッグストアが閉店に追い込まれている状況を見ると油断できない。ブームに惑わされてはいけないと言い聞かせている。

 創業からの理念は「安く売れ高く積め」。価格を徹底的に安くした上で、陳列量を増やして目立たせる。外部からの追い風を自分たちの力と勘違いせず、創業時の姿勢を貫きたい。

 当社はオペレーションコストの圧縮により、少ない売り上げでも黒字化できるのが強み。人口の少ない場所でも出店できる。スーパーは家計の味方であると同時に、地域住民にとって自然災害時のライフラインにもなる。利益を生み、店舗を増やす努力を続けたい。

(聞き手・松藤岳、千葉有羽太)

柴田貢(しばた・みつぐ)1960年2月5日生まれ、芽室町出身。駒沢大経営学部卒業後、菱食(現三菱食品)を経て、88年に大善(現ダイゼン)に入社。2000年から現職。

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