上田商会が販売 売り上げ一部をコンサドーレ札幌のSDGsプロジェクトに寄付
上田商会(本社・登別)は、製鉄所の高炉スラグや火力発電所のフライアッシュを使いセメント使用量を抑える低炭素型コンクリート製品を販売する。セメント100%使用のコンクリート製品に比べて材料由来のCO₂排出量を平均41%削減でき、強度や耐久性が高いため構造物の長寿命化にもつながる。通常のコンクリート製品と同価格で提供することで普及を促す。売り上げの一部は北海道コンサドーレ札幌のSDGsプロジェクトに寄付。持続可能な社会の実現に貢献したい考えだ。
エシカルコンクリートのTUTUMU(つつむ)を使用した製品を市場投入する。セメント代替として、産業副産物のフライアッシュや高炉スラグ微粉末を使用したコンクリート。将来の天然資源の枯渇リスクに対応するため、再生骨材の利用も視野に入れる。エシカルは倫理的や道徳的といった意味で、人や地球環境、地域社会に配慮した考え方や行動を示す。
TUTUMUで作ったコンクリート製品は、セメント使用量が少ないため、CO₂排出量を1t当たり約50kg削減できる効果がある。塩化物イオン浸透抵抗性の向上やアルカリシリカ反応の抑制などで耐久性に優れ、沿岸部、積雪寒冷地が抱える劣化課題に応える。
高炉スラグ微粉末は潜在水硬性があり、セメントのアルカリ性の刺激を受けて緻密な内部組織を構成。フライアッシュはセメント水和時の水酸化カルシウムとのポゾラン反応で緻密な硬化体組織を作る。このためTUTUMUは、短期の強度は配合修正によって一般的なコンクリート製品と同等、中長期は増大する特性を持つ。
温暖化対策の新しい枠組みが示された2015年のパリ協定や、日本政府の2050年カーボンニュートラル宣言を背景に、同社は50年に向けたCO₂排出削減ロードマップを策定した。エシカルコンクリート製品は、30年まで低炭素化フェーズで目標達成の鍵を握るフラッグシップの位置付けだ。
北海道コンサドーレ札幌とクラブパートナー契約を締結し、TUTUMUの売り上げの一部を同チームのSDGsプロジェクトに寄付する。選手らによる子どもたちへの教育事業に使ってもらう意向だ。
上田朗大社長は「低炭素型コンクリート製品が普及しないとCO₂削減対策としての貢献度は低いと考え、通常製品と同価格で提供することを決めた。ロードマップを策定することで環境意識を社内外で根付かせ、50年のゴールに向けて着実に活動したい」と話している。