コスト高、運営は赤信号寸前 原油高騰が影響
舗装材料のストレートアスファルトの値上がりが止まらない。ストアスを扱う石油販売業者によると、2022年4―6月は原油相場の高騰を背景に1t当たり2万8000円ほど値上がりしたという。道内のアスファルト合材工場は昨秋から舗装工事会社に単価の引き上げを伝えたが、収まりの見えないコスト上昇に運営は赤信号が付く寸前まで追い込まれている。
石油元売りが特約店に提示するストアス卸価格は、4月に1万3000円値上がりした。5、6月は6000円ずつ上がり、北海道はこれらに基地管理料や運賃などが加わり、合計2万8000円ほどの上昇幅になっているという。多くは原油相場の上昇が要因だ。
最近の原油相場はEUによるロシア産原油の禁輸などで需給ひっ迫感が懸念され、100ドル超で推移する。直近ではOPECプラスが増産拡大に合意したものの、8日のニューヨーク原油先物市場が一時1バレル当たり123ドル台まで上昇したほか、9日の東京原油先物市場も一時1kL当たり8万9000円超と約14年ぶりの高値を付けた。
原油相場に引きずられ、ストアスは昨春から値上がりが続く。石油元売りの卸価格は21年3―12月で3万4000円ほど上がり、22年は1月に5000円下がったものの、2月に5000円、3月に7000円値上がり。4月以降も高騰が収まらず、4―6月で2万8000円ほど積み上がった。
全国石油商業組合連合会アスファルト委員会の高橋一博北海道支部長は「ここまで上がるとは思っていなかった。世界的な原油相場の流れであるため、どうすることもできない」と話す。
ガソリンや軽油、重油の価格は政府の補助金で上昇が抑えられているが、ストアスや潤滑油は対象外で原油市場の影響を直接受ける。道内のアスファルト合材工場は取引先の舗装工事会社に値上げ文書を出すなどして理解を求めているが、とどまることを知らない生産コストの上昇に〝いたちごっこ〟のような状況となっている。
さらに最近は、政府の価格激変緩和措置が9月で終わり、合材工場で使うC重油の価格が最需要期に「130円から140円ほどに跳ね上がるのでは」といった懸念も出ている。
北海道アスファルト合材協会によると、21年度の道内合材生産量は242万8146tで過去最低だった。22年度は高規格道路の供用箇所が無いなど舗装工事の端境期に当たるため、一層の落ち込みを予想する。業界はコスト高と工事量減少の二重苦にある。