漁網をナイロン原料に 苫小牧プラ・ファクトリー開所

2022年06月16日 08時00分

道内各地の漁業者から回収しペレット化 駒谷社長「地域や地球環境に貢献を」

 鈴木商会(本社・札幌)は13日、使用済み漁網をナイロン原料にリサイクルする施設「苫小牧プラ・ファクトリー」を開所した。道内各地の漁業者から廃棄漁網を回収した後、裁断や破砕などの工程を通してペレット化し、本州の樹脂リサイクル企業に買い取ってもらう。年間で最大1300tほどの生産能力を持つ。駒谷僚社長は「設立70周年の節目で廃プラ・リサイクルにチャレンジし、地域や地球環境に貢献する事業にしたい」と意欲を見せる。

廃棄漁網を受け入れる苫小牧プラ・ファクトリー

 苫小牧市晴海町の工場(S造、2階、延べ1100m²)を借り上げ、洗浄や乾燥、粉砕などの機械を導入して製造ラインを構築。2021年6月から22年4月までに整備した。

 漁業者から使わなくなったナイロン漁網を収集・運搬した後、苫小牧工場でペレット化し、リサイクル会社のリファインバース(本社・東京)に引き取ってもらう。リファインバースは廃棄漁網などが原料の複合ナイロン樹脂「リアミド」の製造工場を愛知県に持ち、21年に鈴木商会と道内の廃棄漁網リサイクル事業化でライセンス契約を結んだ。

 鈴木商会は、全道各地の解体現場から鉄筋やオフィス家具などを受け入れる資源リサイクル会社。自動車や家電リサイクルのほか、産業廃棄物からアルミニウムを取り出す精錬事業を手掛ける。総合リサイクル企業として、漁網は5本目の柱に据えたい意向だ。

 同社によると、道内では年間1500tから2000tの漁網が使用済みとなり、その半数以上が埋め立て処分されているという。リサイクル化は、自治体が直面する最終処分場不足を補う効果があり、事業の定着が期待される。漁業者から徴収する廃棄物処理料は従来より安価に設定し、事業の定着を目指す。

 13日の開所式には駒谷社長のほか、北海道漁業協同組合連合会の菊池元宏代表理事副会長やリファインバースの越智晶社長などがテープカットに参加。駒谷社長は「ナイロンは漁網以外でも使われているため、将来的には幅を広げたい。再生ナイロンの衣類などが当たり前のように着られている環境になれば」と抱負を話した。

駒谷社長(右端)らがテープカットした


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