深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り オクノ 石原嘉孝社長

2022年06月17日 11時00分

石原嘉孝社長

新業態に生まれ変わるべき

 道北地方の流行をリードしてきた旭川平和通買物公園にあるファッションビル「オクノ」が、2025年にも閉店する。服飾文化の盛衰を感じてきた石原嘉孝社長は「オクノは生まれ変わるべきだ」とし、同ビルの再開発と買物公園活性化へ意欲を高めている。これまでの歩みや今後の展望を聞いた。

 ―出店当時の状況を。

 元々は1973年、そうごデパートの旭川店としてスタートした。高度成長の真っただ中で、札幌にあった本店では1日に500着もコートが売れたこともある。

 イヴ・サンローランは女性にパンツスーツスタイルを浸透させ、社会の固定観念を打破した。当時は経済的な伸長だけでなく、自由なスタイルを提案するファッションが文化の最先端だった。東京だけで展開していたユナイテッドアローズに道内初出店してもらったのは、本来の機能や意匠、歴史を深く考えた創業者の服作りへの挑戦に共感してのことだ。

 今でも「オクノはあこがれの場所だった」とよく言われる。ファッションだけではなく待ち合わせにも使われ、まちのシンボルだった。

 ―西武や丸井今井が旭川から撤退し、百貨店は苦境に陥っているが。

 2000年代に入ってから目に見えてファッションの意味が変化し、かつての革新性が衰退した。パルコのように最先端カルチャーを引っ張ったファッション専門店がトップを走れなくなっている。

 オクノは正装限定のパーティーを主催し、ファッション文化の振興を図ってきた。しかし、最近の若者はダンスを踊れず見ているだけ。『20―30代にとってモダンなファッションやカルチャーを身に付ける場が要るのか』と時代の変化を感じた。

 旭川駅前イオンなど大型ショッピングモールの進出も大きい。オクノ前の人通りは7割以上減少した。出店当時は最先端のビルだったが、今では買物公園で一番古く、耐震構造不足や受電・空調設備の老朽化も問題だ。買物公園自体の人通りも減っていて、何かを足せば解決する問題ではない。

 ―タワーマンションなど買物公園で進む再開発をどう見るか。

 道内での洋服販売は、大丸札幌店のように若者をうまくつかんでいる札幌が中心になるだろう。オクノは市街地再開発の流れに乗り、生まれ変わるべきだ。10月からのオクノはコンデンスト(凝縮)として1階に服飾系のテナントを固め、3階層のみで数年は営業する。建て替えるにしても最短で25年度以降になるだろう。

 ―コンセプトは。

 新たなビルの業態やどの年齢層を狙うかなどは、今後設計者やデベロッパーと話をして着地点を見極めなければならない。だが、今も入居しているオーダーメードのテーラーといった中核のサービスは残してもらいたい。誰もが入りやすい開放的な店舗とする必要もあるだろう。

 買物公園全体も歩行者天国との接地部をセットバックにするなど、積雪寒冷地帯の商店街のモデルとなるべきではないか。緑化やイルミネーションなどで活性化策に取り組んだ経緯もあるため、ブレークスルーを見つけられればと思う。

(聞き手・松藤岳、千葉有羽太)

 石原嘉孝(いしはら・よしたか)大阪府泉大津市出身。北大教育学部卒業後、1969年にそうごデパート入社。80年に同旭川店をオクノとして開業した。

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