北る データセンター

 データセンター(DC)の建設ラッシュが北海道に近づいている。本道は国が進めるDC地方分散先として名前が挙がり、夏にも大型計画が明るみに出る可能性がある。建設関連業種の受注増や自治体の税収増への期待にとどまらず、DC開発は再生可能エネルギーや地元IT産業の振興など、新時代に求められるまちづくりを加速させる側面がある。3回の連載で北海道とDCの未来を探る。(経済産業部・高田陸、宮崎嵩大記者)

北る データセンター(上)迫るDC建設ラッシュ

2022年06月24日 10時00分

国は1000億円投じ地方分散へ 本道での計画、夏にも明るみ

 DCは2020年代の不動産開発の注目株だ。大規模なサーバーで大量の情報処理、保存を担う施設で、クラウドサービスや5Gの普及とともに存在感を増してきた。日本政策投資銀行(本社・東京)がまとめたリポートによると、19年時点の国内DC市場規模は約2兆2000億円で、25年まで年平均6.5%ずつ成長を続けるとみられている。

 近年、DCを開発した上でクラウド事業者を誘致する不動産賃貸業のような施設が急増している。22年には大和ハウス工業(本社・大阪)がDCブランドを立ち上げて全国展開する方針を打ち出すなど、IT業界外からの参入も出てきた。インフラや防災面の条件が整う千葉県印西市では、国内外の事業者による大規模DC建設が相次ぐ。

千葉県印西市ではデータセンター建設が相次ぐ。
条件がそろえば道内でも同様の建設ラッシュが期待される

 22年、DCは〝地方分散元年〟を迎えた。国内施設の8割は東京・大阪圏に集中するが、災害リスク回避などのため、国は総額1000億円を投じて地方分散を推し進める。これまでもDC整備に関する補助はあったが、このような巨額の金額規模、地方分散のための補助は初めて。全国十数カ所の地方拠点、5―7カ所の大規模DC設置を目指す。本道は首都圏から遠く電力・通信インフラが脆弱(ぜいじゃく)なため大型DCは石狩市のさくらインターネット(本社・大阪)などごくわずかだが、再エネや冷房の消費電力を大きく削減する冷涼な気候を武器とする有力候補地だ。

 「上限を優に超える問い合わせを受けている」―。地方分散に向けて最初に動き出したのは総務省のDC建設費補助。200億円を充て、25年度末までに竣工する東京圏以外での新設・増床に対し、最大40億円を補助する。既に公募を終え、夏ごろに5件以上の事業を採択・発表する見込み。道内からは石狩市、美唄市などでの計画が届いているもようだ。

 526億円を措置した経済産業省は、26年度ごろまでに着工するDC整備に補助する。秋にも建設地調査費補助の公募開始が見込まれる。申請には予定地が決まっていなければならない。道内でも事業者と、自治体や工業団地を所有する第三セクターによる水面下の交渉が進んでいるとみられる。

 DCの立地として、本道にはもう一つ大きな強みがある。欧米との距離が日本で最も近い点だ。情報処理の世界では0・01秒に満たない通信遅延が命取りとなるケースもあり、拠点間を結ぶ光ファイバーケーブルは短いほどよいとされる。本道はDC事業者から東アジアと欧米を結ぶ通信ハブとして期待される一方、ロシアを通る陸上ケーブル以外に欧米と直接つながるルートはない。東大大学院の江崎浩教授は「国外とつながる海底ケーブル新設が誘致成功の絶対条件」と強調する。

 そこで注目されるのが、総務省が300億円を充てる国内海底ケーブル敷設などの補助だ。未整備の東北―九州間(日本海側)の計画採択が有力だが、陸揚げ局の整備も補助対象となる。陸揚げ局は海底ケーブルを陸地のDCなどにつなぐ重要な拠点施設。国内外の事業者が利用できる施設が道内にも整備されれば、ケーブル新設の可能性が高まり、印西市のような大型DC誘致の第一歩になる。

 そんな中、さくらインターネットの前田章博取締役は、本道での立地促進に向けて「DCユーザーから見て魅力的な特徴が必要だ」と指摘する。選ばれる地域になるには、再生可能エネルギーなど独自の強みが求められる。

 この連載に関連して北海道建設新聞2022年6月20日付2面に、北海道ニュートピアデータセンター研究会の副代表を担う東大大学院教授江崎浩氏のインタビューが掲載されています。閲覧は新聞本紙か、e-kensinプラスの記事検索コーナーをご覧ください。

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