スケジュールや居住環境明示し不安解消
講師=伊藤雅之氏(人事労務コンサルタント代表)
■大学生が採用の中心に
少子化は著しく、このままのペースが続くと500年後には日本人が消滅するという試算がある。一方で進学率は上昇が続き、高卒中心の採用活動は将来成り立たなくなるだろう。
コロナ禍で会社説明会をウェブ開催する企業が増えている。参加率を上げるためには回数を増やす、土日開催などで間口を広げること。学生から参加希望のメールが届いたら、放置せず必ず確認メールを送る。そうすれば急なキャンセルがかなり減る。
説明会に社長や総務部長が出てはいけない。学生より少し先輩の若手社員が、いま自分がどんな仕事をしているかをリアルに話した方が伝わる。もっと話を聞いてみたいと思わせる仕掛け作りが必要だ。
■インターンを重視
大学生のインターンシップはいまや参加率87.8%。3年生にとって当たり前の活動となっている。このときに実践的なプログラムを用意し、それをウェブ上で明確にすることがポイント。
2025年卒の大学生採用からは、インターンシップの結果を本採用に反映できるようになる見通し。つまり来年以降に実施するインターンシップは採用に直結する。言い換えれば、この時点で選ばれない会社に大学生は来ない。
■情報発信に工夫を
地方の中小企業は不利だと思うかもしれないが、賃金だけで就職先を選ぶ学生は少ない。まずはホームページを充実させ、若手社員の1日のスケジュールや人材育成プランなど学生が知りたい情報を網羅する。
会社の位置や通いやすい住まいの情報、買い物、公共交通などの環境も示し、初めての土地で一人暮らしをする不安を解消してあげれば、選ばれるツールにもなり得る。ただし正直に伝えること。入社後に実態と違うと感じたらSNSであっという間に拡散され、会社にとってダメージが大きくなる。
■若者の傾向と対策
得意な分野では承認欲求が強いが、苦手な分野は他人に任せたいと考える若者が多い。固定電話に慣れていないせいもあるが、外線電話に出たがらず「つたない自分よりも得意な先輩が応対した方が顧客のため」と言ってはばからない。
スマホに慣れた世代は、答えをすぐに知りたがる。「あの人を見習え」は通じないので、手取り足取り教える必要がある。しかし取扱説明書の解読にはたけているので、具体的に何をどう頑張ればいいのか分かるように、取扱説明書を作るつもりで評価基準を作成すれば成長につながる。評価基準に関しては3回目の講義で詳しく説明したい。