激化する若者獲得競争 地方企業が取るべき戦略は-

 少子高齢化と人口減少に悩まされる地方で、若年人材の獲得に企業が苦戦を強いられている。仕事があっても、働き手がいなければ事業は継続できない。では若者を雇用するにはどうしたら良いのか―。釧路市と市内経済団体などで構成する釧路市地域雇用創造協議会は6月、釧路センチュリーキャッスルホテルで3回にわたってセミナーを開き、若年層が企業を選ぶポイントや効果的な求人票の書き方、定着率が上がる賃金・評価制度を伝えた。各回の講演概要を紹介する。(釧路支社・武弓弘和)

激化する若者獲得競争 地方企業が取るべき戦略は-(上)若手社員のリアルを伝える

2022年06月27日 17時39分

スケジュールや居住環境明示し不安解消

 初日(7日)会場参加6人、オンライン参加11人。
講師=伊藤雅之氏(人事労務コンサルタント代表)

会場とオンラインで若手獲得のポイントを学んだ

■大学生が採用の中心に

 少子化は著しく、このままのペースが続くと500年後には日本人が消滅するという試算がある。一方で進学率は上昇が続き、高卒中心の採用活動は将来成り立たなくなるだろう。

 コロナ禍で会社説明会をウェブ開催する企業が増えている。参加率を上げるためには回数を増やす、土日開催などで間口を広げること。学生から参加希望のメールが届いたら、放置せず必ず確認メールを送る。そうすれば急なキャンセルがかなり減る。

 説明会に社長や総務部長が出てはいけない。学生より少し先輩の若手社員が、いま自分がどんな仕事をしているかをリアルに話した方が伝わる。もっと話を聞いてみたいと思わせる仕掛け作りが必要だ。

■インターンを重視

 大学生のインターンシップはいまや参加率87.8%。3年生にとって当たり前の活動となっている。このときに実践的なプログラムを用意し、それをウェブ上で明確にすることがポイント。

 2025年卒の大学生採用からは、インターンシップの結果を本採用に反映できるようになる見通し。つまり来年以降に実施するインターンシップは採用に直結する。言い換えれば、この時点で選ばれない会社に大学生は来ない。

■情報発信に工夫を

 地方の中小企業は不利だと思うかもしれないが、賃金だけで就職先を選ぶ学生は少ない。まずはホームページを充実させ、若手社員の1日のスケジュールや人材育成プランなど学生が知りたい情報を網羅する。

 会社の位置や通いやすい住まいの情報、買い物、公共交通などの環境も示し、初めての土地で一人暮らしをする不安を解消してあげれば、選ばれるツールにもなり得る。ただし正直に伝えること。入社後に実態と違うと感じたらSNSであっという間に拡散され、会社にとってダメージが大きくなる。

■若者の傾向と対策

 得意な分野では承認欲求が強いが、苦手な分野は他人に任せたいと考える若者が多い。固定電話に慣れていないせいもあるが、外線電話に出たがらず「つたない自分よりも得意な先輩が応対した方が顧客のため」と言ってはばからない。

 スマホに慣れた世代は、答えをすぐに知りたがる。「あの人を見習え」は通じないので、手取り足取り教える必要がある。しかし取扱説明書の解読にはたけているので、具体的に何をどう頑張ればいいのか分かるように、取扱説明書を作るつもりで評価基準を作成すれば成長につながる。評価基準に関しては3回目の講義で詳しく説明したい。


激化する若者獲得競争 地方企業が取るべき戦略は- 一覧へ戻る

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 北海道水替事業協同組合
  • 川崎建設
  • 日本仮設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (3,008)
おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,388)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,343)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,250)
おとなの養生訓 第126回「なぜ吐くのか」 空腹時...
2017年12月22日 (845)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。