ワインの醸造残さを活用したメタン発酵発電の実現可能性探る
余市町は、7月にも再生可能エネルギー導入調査に着手する。新たな道の駅で地中熱ヒートポンプなどゼロカーボンを実現する設備の採用や、特産品であるワインの醸造残さを活用したメタン発酵発電の実現可能性を探る。2定補正で調査委託費5223万9000円を予算化。再エネビジョンを策定したパシフィックコンサルタンツと随意契約し、年度末まで進める。
地域固有のエネルギー資源を利用した経済活性化や地域の強靭化に向け、再エネによる自立分散的な供給システムの確立を図る。
10日公表の再エネビジョンで重点推進事業に分類した、道の駅再エネ導入、ソーラーシェアリング、メタン発酵発電の3プロジェクトについて調査する。
24年度にも着工する新たな道の駅では、環境負荷の少ない地中熱ヒートポンプによる給湯、融雪、暖房に加え、太陽光発電による電力供給を検討。電気自動車や、電動車から家庭に電力を供給するV2H充電設備を配置し、脱炭素交通の発着拠点としたい考えだ。
ソーラーシェアリングは、町内に点在するワイナリーのほか、ブドウやリンゴの果樹園で発電する営農型太陽光発電。地元農産物やワインのさらなるブランド化、環境価値の向上を図る狙いがある。積雪に対応可能な架台の強度や施工方法、果実などへの影響を実証調査する。
ワイン醸造過程で生じた残りかすや廃棄果実・野菜、農水産物加工業の未利用廃棄物を資源とするメタン発酵発電の実現可能性も検討する。町内ではニッカウヰスキー余市蒸溜所がウイスキー製造工程で発生する廃液のメタン発酵発電に取り組んでいるが、年間を通し企業単独で残さを確保するのは難しいため、複数の資源を組み合わせて活用できる発電事業を目指す。
導入推進へ検討会を設置し、町内の関係団体や環境、再エネ分野の専門家から意見を取り入れる方針だ。