データ活用で気候変動把握 道総研が手法開発、対策後押し

2022年07月06日 10時00分

予測DBや速報値推計 長期的な政策・企業戦略策定に不可欠

 気候変動に伴う平均気温上昇は寒冷地の北海道も免れない。農林水産業や観光業、防災など多様な分野が影響を受けるとされ、客観データに基づく対応は必須だ。北海道総合研究機構のエネルギー・環境・地質研究所は、気候変動予測データベース(DB)や二酸化炭素(CO₂)排出量の速報値推計手法を開発して対策を支援。気候変動は凍結融解の増加による道路損傷や省エネ構造物の寿命変動などにつながるとみられている。

 自治体や企業が長期的な政策や経営戦略を立てるには気候変動の影響把握が不可欠だ。2018年施行の気候変動適応法は都道府県や市町村による適応計画の策定を努力義務と定めた。道は21年に北海道気候変動適応センターを設置して情報の収集・提供に取り組んでいる。

 こうした背景で同研究所の環境保全部は、道内地域の未来予測を一元的にまとめたDBを作成した。今世紀の中頃から後半の範囲で気温や降水量、積雪量などの予測データを得られる。地域区分は1―5kmメッシュの細かさだ。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)報告書に基づき複数の気温上昇シナリオを選べる。

DBでは未来の平均気温などを色分けして図示できる

 例えば、温暖化が最も進むと想定して2100年頃の道南のある地域を見ると、1月でも平均気温が0度以上、湖には氷が張らないという予測を得られる。図やグラフで具体的な影響を想定できるのが特長だ。

 DBは国立環境研究所や農研機構、気象庁などが有するデータ集合をまとめて格納している。各機関から個別にデータを得るには専門知識が必要で月単位のダウンロード時間がかかる一方、DBでは平易なプログラム文を書けば数分で欲しいデータが得られる。他の都府県で類例はないという。「さまざまな分野での利活用を考えて使いやすさに配慮した」と鈴木啓明研究主任は話す。

 研究所では凍結融解やダイヤモンドダストの発生頻度、河川の濁りの増加などを研究するために活用中。自治体や企業の利用相談には積極的に応じる考えだ。

 脱炭素の施策には未来予測だけでなく、毎年のCO₂排出量をなるべくリアルタイムで把握することも必要だ。しかし、現状で都道府県単位の排出量確報値を知るには当該年度末から3年半ほども待たなくてはならない。国のまとめる統計結果を算出元とするからだ。

 そこで、環境保全部は道の要請を受け、道内のCO₂排出量速報値を年度末から1年半後に推計する手法を開発した。従来より2年も早く把握できるため、より実態に即した政策立案が可能になると期待される。

 従来の算出方法はCO₂排出に関わる経済活動規模を業種ごとの排出係数と掛け合わせる。しかし、この手法では工業統計などから直近の排出傾向を推定して算出に生かすアプローチを取った。誤差0.5%―4.2%という精度で、浜原和広主査によると同様の取り組みは全国でも珍しい。

 国際情勢の変化に伴う化石燃料の価格高騰でCO₂排出量への影響も想定される。脱炭素をめぐる不確定性が高まる中、道単位や地域単位で未来予測や実績のデータを把握して施策立案に生かせる意義は大きそうだ。


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