大人の皆さんへの知名度はいまいちですが、小学生にはよく知られているマークがあります。それは「CUDマーク」。三角おむすびの中に黄、赤、青の3色を配し、中央にCUDの3文字が並んでいるあのデザインです。
カラーユニバーサルデザイン(CUD)は、誰もがわかる色使いでカラー情報が伝わることを目指していますが、それを実践した証しとして発行されるのがCUDマークです。北海道カラーユニバーサルデザイン機構(北海道CUDO)のマークでもあります。「あ、あれね」と、イメージした方は、かなりのCUD通と拝察いたします。
教科書の表紙にこのマークが付いていることが多いので、子どもたちにはおなじみです。付いていないものもありますが、手持ちの教科書を並べると、少なくとも数冊にCUDマークが見つかります。
小学1年生が遠い昔になってしまった私には、現在の教科書はカラフルでまるで絵本のようです。学年が上がっても多色使いは変わらず、もう、教科書に地味なイメージはありません。
文部科学省は、色覚特性に配慮した見やすい教科書を発行者に求めています。そのため、北海道CUDOのグループ法人で継続的にCUD検証を実施している、NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(東京)が教科書のCUD認証をし、CUDマークを発行しました。
札幌市市電の運行モニターのバスルートマップ(札幌路線図)、湧別町のハザードマップなど、北海道CUDOが発行したCUDマークも増え、身近なところで見かけるようになりました。多くのP型、O型の皆さんから、「見やすい」との声も頂戴しています。色に疑問や迷いがなく、さらりと情報を得られる社会はもうすぐです。
CUDマーク発行のため検証には、公正なジャッジが求められます。そのため、この作業には所定のトレーニングを受けた検証員さんが当たります。色覚が異なるP型強度(1型2色覚)、D型強度(2型2色覚)、C型(3色覚、一般色覚者)の3人が一堂に会し、検証がスタートします。もちろん、検証員のP型の人もD型の人も色はわかりますが、それぞれに特徴的な見間違いやすい色や、見分けられない色の組み合わせがあります。情報が伝わりにくい色、誤解や気付きが遅れがちな色を、3人の目で見出し調整するのが、この検証作業の重要なポイントです。
「色のメガネ」などのシミュレーションツールは、情報デザインの分野で大活躍していますが、残念なことにP型、D型の「色の受け取り方」と一致しないことがあります。C型とP型、D型には、色の認識についての習慣の差があり、この調整作業に検証員さんは欠かせません。CUD検証で、より日常的な色の見え方が実現するのです。
さて、その検証員さんですが、できる方はごくわずかで、P型は日本人男性の0.45%、D型は1.5%ほどの割合です。とても貴重な存在です。もし、検証員に手を上げてくださる方がいらしたら、大変うれしいですね。
CUDマークはP型、D型だけでなく、C型にとってもストレスフリーな色情報の保証書です。少しずつ増えていますので、注目してください。