低炭素型標準化へ 札幌生コン協組が試験練り

2022年07月15日 08時00分

高炉セメントB種とフライアッシュⅡ種を材料に

 札幌生コンクリート協同組合は、低炭素型コンクリートの標準化に向けた取り組みとして高炉セメントB種とフライアッシュⅡ種を材料に使った試験練りを12日、札幌市内で実施した。北海道開発局などが北海道インフラゼロカーボン試行工事を新設するなど業界で広がる低炭素化に対応するための試み。今後は凍結融解や乾燥収縮など耐久性を試験し、生コンの製造と供給面からゼロカーボン社会に貢献したい考えだ。

汎用性のある低炭素型コンクリートの製造に向けて、試験練りによってスランプや空気量を測定した

 コンクリート材料のセメントは、製造時に原料を最高1450度の超高温で焼くことから、CO₂排出量が多いと言われる。このためセメント代わりに、火力発電所で排出されるフライアッシュや製鉄所で出る高炉スラグを使うのが低炭素型コンクリートだ。

 日本建設業連合会は2030年までに施工段階のCO₂排出量を1990年度比で25%削減する目標を掲げ、具体策の一つとして低炭素型コンクリートの採用を挙げる。最近は道内でもスーパーゼネコンを中心にセメントの配合量を減らした低炭素型コンクリートの使用を模索する動きが見られる。

 市場環境の変化に札幌生コン協組は、SCN50と名付けたワーキンググループを設置して対応を進める。しかし、高炉スラグを60%超70%以下で混合した高炉セメントC種は供給メーカーが限られ、各工場で広く標準化して出荷することは難しい。このため、まずは分量30%超60%以下で汎用(はんよう)性のある高炉セメントB種と、火力発電所副産物のフライアッシュⅡ種を組み合わせ、安定した品質で製造できないか研究することにした。

 試験練りは北海道太平洋生コンの札幌工場で実施し、SCN50座長の松本龍彦北海道宇部社長や北海道生コンクリート工業組合の斉藤弘光技術委員長ら15人が参加。旭川地区生コンクリート協同組合と北電興業の関係者も見学した。

 午前は水セメント比40%と47・5%、55%の3パターンで、フライアッシュを15%添加しスランプと空気量、コンクリー温度、塩化物含有量を測った。午後はフライアッシュ添加量を20%に増やし、スランプなど4項目を同様に計った。

 作業は北海道太平洋生コンの神本邦男札幌工場長が陣頭指揮を執り、工場スタッフが手際よく材料を配合したり、スランプや空気量を測った。太平洋セメントとポゾリスソリューションズ、クワザワ、国際企業の技術者がサポートを担った。

 松本座長は「協同組合であるため、みんなが同等の品質で共同して出荷できるのが理想。先を見据え、今後もいろいろな方式で一層の低炭素化を進めたい」と話した。


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