札幌市とANAグループは、招致を目指す2030年冬季五輪・パラリンピックを視野に、ユニバーサルデザインに基づく総合的な移動サービス「Universal MaaS」の共同プロジェクトに乗り出す。車いすに乗って市内を巡るイベントを9月4日に予定。移動データを収集し、今後のサービス向上に役立てる。
Universal MaaSは、何らかの理由で移動にためらいのある人が快適にストレスなく移動を楽しめるサービス。出発地から目的地までの移動に必要な情報(運賃、運航・運行状況、ルート、スポット情報など)を利用者側に提供するとともに、利用者の位置情報や特性情報、希望する介助内容を各サービス提供者側に共有する。
ANAグループはこれまで神奈川県横須賀市周辺を中心に実証実験を重ねた。都内から空路を含めた大阪・京都・神戸エリアを移動する利用者を対象に、車いすユーザー向け移動支援サービス「一括サポート手配」の実証実験や「バリアフリー地図/ナビ」の社会実装に取り組んできた。
今後は札幌市と全日本空輸、ANAホールディングス傘下のANAあきんどが提携し、都内から市内の目的地までの移動について、積雪寒冷地ならではの課題抽出と解決に当たる。
9月のイベントは、プロジェクトの実証実験パートナーである一般社団法人WheeLogが参加者を募集中。冬季五輪を想定し、23年2月ごろにも同様のイベントを予定する。
道外から冬季五輪会場や市内の観光に訪れる車いす利用者らが交通機関でスムーズに移動できる共生社会の実現を目指す。