最大13.4万棟 日本・千島海溝沿い巨大地震道内被害想定

2022年07月28日 15時00分

被害要因の大半は津波

 道は28日、道内市町村における日本海溝・千島海溝沿い巨大地震の被害想定を公表した。最も被害が大きいと見込まれる冬・深夜では、建物全壊棟数が千島海溝モデルで5万1000棟、日本海溝モデルで13万4000棟と推計。対象となる38市町ごとの建物被害(千島、日本海溝どちらか被害が最大となる場合)を見ると、函館市が4万8000棟で最も多く、釧路市の2万7000棟、登別市の1万4000棟が後に続く。被害の要因としてはいずれも津波が大半を占めている。

 道では内閣府が示した日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデルを踏まえ、2021年7月に新たな津波浸水想定を策定。これを基に道防災会議地震火山対策部会地震専門委員会のワーキンググループ(WG)で減災目標を検討していた。

 想定される被害は、地震の発生時期や時間帯によって異なるため、夏・昼、冬・夕、冬・深夜という3パターンで推計。建物被害(津波や揺れによる全壊棟数)、人的被害(津波や建物倒壊による死者数、低体温症要対処者数、負傷者数)、避難者数を示した。火災による建物被害や死者数、道路などのインフラ・ライフライン被害は年内にも策定する減災目標と合わせて公表する。

 全壊棟数を見ると、千島海溝モデルは夏・昼が4万9000棟、冬・夕と冬・深夜が各5万1000棟、日本海溝モデルは夏・昼、冬・夕、冬・深夜いずれも13万4000棟と推計した。

 人的被害のうち死者数は、早期避難率が高く、強く被災回避を呼び掛けたと設定した場合(津波避難ビルを考慮)、千島海溝が夏・昼2万7000人、冬・夕4万8000人、冬・深夜5万人、日本海溝が夏・昼9000人、冬・夕4万1000人、冬・深夜4万8000人。

 早期避難率が低い場合(津波避難ビルを考慮しない)は、千島海溝が夏・昼9万4000人、冬・夕10万6000人、冬・深夜9万5000人、日本海溝が夏・昼12万1000人、冬・夕14万9000人、冬・深夜13万9000人を見込んだ。

 このほか、冬・深夜における負傷者数は千島海溝が早期避難率高+呼び掛けで1万1000人、早期避難率低で1万4000人、日本海溝が早期避難率高+呼び掛けで370人、早期避難率低で4400人と計算した。

 内閣府が昨年12月に示した被害想定との比較も提示した。冬・深夜の要因別建物被害は、千島海溝が揺れで4500棟、液状化で2100棟、急傾斜地崩壊で70棟多くなったが、津波は1万棟下回った。日本海溝は揺れで120棟、液状化で2800棟、津波で1万2000棟、急傾斜地崩壊で20棟上回っている。違いが生まれた理由には、国が全国統一の方法論で計算したのに対し、道は市町村ごとに対策を検討するための基礎資料として地域条件に合わせた方法で推計していることを挙げている。

 冬・深夜の市町別建物被害(千島、日本海溝どちらか被害が最大となる場合)は函館市が最多。釧路市が2万7000棟、登別市が1万4000棟、苫小牧市が1万3000棟、北斗市が1万2000棟で1万棟を超えた。津波による死者数は釧路市が最も多く、早期避難率高+呼び掛けで3万7000人、早期避難率低で7万3000人に上っている。

 防災対策の効果にも言及しており、早期避難率が高く津波避難ビルを活用した方が避難率が低い場合に比べ、冬・深夜における死者数は千島海溝で47.4%、日本海溝で65.5%減少すると指摘。津波からの早期避難率を高めること、津波避難ビル・タワーの整備促進、建物の耐震化推進などにより人的被害や建物被害が軽減できるとした。

 今後の対応としては、ハザードマップや避難計画の見直し、防災訓練といった対策を継続実施するなど、しっかりとした対策を講じれば想定される被害が減少することは明白であるとし、ソフト・ハード対策を総動員して地震・津波対策を推進することが必要とした。

 減災目標設定WGの座長を務める岡田成幸北大広域複合災害研究センター客員教授は「死者を減らすにはハード整備が欠かせない」とインフラ整備の重要性をあらためて強調し、「条件が変われば数値は大きく変化する。今回の数値の意味を理解し、まずはできるところから対策を考え、行政と地域住民が協働で取り組んでほしい」と呼び掛けている。


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