街に新たな風吹き込む 開港150年を迎える室蘭港

2022年08月01日 07時00分

 ことし開港150年を迎える室蘭港が、エネルギーの未来を担う洋上風力発電施設の製造拠点として注目されている。既に大成建設や五洋建設が関連部材の生産に向けて準備を進め、15日には清水建設が建造中のSEP船の母港を室蘭港とすることを決めた。国を代表する企業が室蘭に可能性を見い出し、港と街に新たな風を吹き込んでいる。

 港の歩みを振り返ってみる。開拓使は本道への移民と物流を担う幹線道路として函館から胆振国を経由し札幌に至る札幌本道を計画。噴火湾に沿った道路の建設はまだ困難で、直線距離が最も短い森―室蘭間を海路とし1872年、絵鞆半島内側のトキカラモイ(現在の室蘭市海岸町)に桟橋が置かれた。

 地形上、高い静穏度と十分な水深を持つ天然の良港。これに水源となる鷲別川、噴火湾の砂鉄などの好条件が加わり製鉄、製鋼業が立地した。鉄道建設で空知の産炭地と結ばれ、石炭の積み出し港となり街は1922年に市制施行。工業港としてエネルギーの変遷とともに発展した。

 戦前の工場では飛行機の国産エンジン第1号や軍艦の砲身が造られ、港では石炭積み出しの高架桟橋建設や港湾修築が進んだ。戦後は国内最大級の高炉を持つ道内初の特定重要港湾となり、各国のエネルギー関連プラントを輸出、水素吸蔵合金など優れた工業製品も生まれた。鉄の街として、まさに日本の高度成長を支えた一大拠点だった。

 しかし、産業構造の転換などで2022年に市の人口は7万9000人に減少した。鉄の街全盛期の半分以下となり、2月にはフェリー航路も休止。かつのて港と街のにぎわいを懐かしむ声も聞かれる。

 多様な電源開発が進む脱炭素の時代、国は洋上風力発電の拡大を打ち出した。本道はその適地とされる。室蘭港は日本海と太平洋の両方にアクセスしやすい。港湾インフラと産業基盤が洋上風力開発に貢献し、港と街の再生につながることを願っている。

 地域を支えてきた地元企業にとっても大きな機会となる。各社は製鉄、製鋼の2大産業の下で世界水準の要求に応え技術力を磨き、半島を結ぶ室蘭新道や港をまたぐ白鳥大橋に使われた最先端の土木技術とともに成長した。培った技術を洋上風力開発に発揮できれば今後の力となる。

 きょう29日は室蘭市開港150年・市制施行100年記念式典が行われ、港と街が新たな節目を迎える。室蘭の未来を信じて取り組んだ先人の情熱と努力に思いをはせたい。(星野貴俊)

(北海道建設新聞2022年7月29日付1面より)


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