道内から初快挙、仕上げを意識
7月24日に静岡県富士宮市の富士教育訓練センターで開かれた「第4回全国鉄筋技能大会(通称・TETSU―1グランプリ)」で、東亜工業(本社・東神楽)の山岡卓也さん(31)が優勝し日本一に輝いた。道内からは初の快挙。山岡さんは「他の参加者も素晴らしい技術だった。その中で選ばれたことをうれしく思う」と喜びをかみしめた。(旭川支社・松藤岳記者)
同大会は若手の鉄筋工の育成に向け、全国鉄筋工事業協会が2015年から隔年で開催。コロナ禍で21年秋の全国大会が延期となり、7月にずれ込んだ。
十字形の鉄筋構造物の組み立てを、1時間20分以内で仕上げるのが課題だ。完成が1分短くなるごとに加点されるが、鉄筋の間隔や角度の正確さ、結束処理の丁寧さなど出来形も重要となる。
北海道鉄筋業協同組合が21年に開いた予選会で、山岡さんは他の参加者を大きく引き離す46分台をマークして優勝。本選を控えたことし7月に入ってから練習を再開し、1週間前からは毎日2回課題を組み上げる万全の体勢で臨んだ。
全国から29人の鉄筋工が参加した本選は、50分で完成させた山岡さんでさえタイムでは2番手となるハイレベルな戦いとなった。しかし、出来栄えの減点が少なかった山岡さんが大会を制し、2位には東京都代表の種山匠さん、3位には山口県代表の渡辺武志さんがついた。
「リラックスしてミスもなく組めた。きれいに仕上げることを意識した」と話す山岡さん。ウェブで配信された競技風景を見て家族や会社の同僚も応援したという。「みんなが声を掛けてくれて不思議な気持ち。現場で競うことはないので達成感がある」と自らの培った技術が評価された喜びを語った。
道鉄筋業協組副理事長で、東亜工業の親会社でもある旭都鉄筋工業所(本社・東神楽)の国井角成社長は「北海道は技術力の高い地域だと証明できた。これからの工事でも顧客のために技術を生かしてほしい」と期待を寄せた。