コンクリート構造物の予防保全 劣化段階ごとに工法選定を

2022年08月04日 16時00分

コンクリートメンテナンス協会「残存供用年数意識した措置が重要」

 道路施設の高齢化や老朽化に対応した5年に1回の定期点検が二巡目後半に入り、橋梁やトンネルなどコンクリート構造物に対する予防保全の在り方が一層重要度を増す。コンクリート劣化の3大要因「塩害・中性化・ASR(アルカリシリカ反応)」は、これまでの研究成果から原因や対処法が分かっている。コンクリートメンテナンス協会は「残存供用年数の時間軸を意識しながら、劣化段階ごとの適正措置が重要になる」と説く。

 コンクリート劣化要因のうち、塩害は塩化物イオンがコンクリートの中に入って鉄筋が腐食する現象。海の近くや凍結防止剤を散布する道路などの付近に立つ構造物に多い。

 もともとコンクリート中の鉄筋は不動態被膜によって腐食から守られているが、塩化物イオンが一定量を超えると膜が破壊されて無防備になる。その結果、コンクリートの浮きや剥離、鉄筋の断面が痩せ細るなどの症状が出る。

 中性化は、大気中のCO₂がコンクリート中に浸入して鉄筋を腐食させる現象だ。CO₂がセメント水和物と炭酸化反応し、コンクリート本来の強アルカリから11以下までpHが下がる。塩害と同様、不動態被膜が破壊されて浮きや剥離、鉄筋の露出などを招く。

 ASRは、質の悪い反応性骨材がコンクリート中のアルカリ分と反応してアルカリシリカゲルという物質を生成し、その吸水膨張反応によってコンクリートにひび割れを発生させる。段差や異常変形のほか、圧縮強度の低下や鉄筋の破断を招くこともある。

 コンクリートメンテナンス協会は、劣化過程に合わせた段階的な予防保全を勧める。塩害と中性化の場合、外見上の変状が見られない「潜伏期」から、大規模な剥離・剥落が見られる「劣化期」まで、5段階で劣化過程を捉える。

 潜伏期の補修工法は、劣化因子の塩化物イオンやCO₂を浸入させないことが求められる。残存供用年数や劣化予測と照らし合わせながら経過観察したり、シラン系やケイ酸塩系の表面含浸工で定期的に性能を担保するなどの方法を示す。

 見た目で判断できないものの鉄筋腐食が始まっている進展期は、劣化因子の浸入を防ぐほか、鉄筋の腐食を進行させないことがポイントだ。水と酸素の浸入を止めれば腐食のスピードを遅らせることができる。

 補修工法は、鉄筋腐食の抑制効果を持つ表面含浸材を使うことが有効で、ポゾリスソリューションズ(本社・神奈川県茅ケ崎市)のプロテクトシルCITや、井上商事(同・広島県三原市)のプロコンガードシステムSなどがある。

 劣化が見て取れる「加速期」は、前期と後期で分けて捉えることが重要だという。前期は、ひび割れのほか浮きや剥離が軽微な段階。残存供用年数と照らし合わせながら、ひび割れ注入や部分断面修復といった必要最低限の補修をするか、将来的な再劣化を許容しない電気防食や亜硝酸リチウム内部圧入などの高額工法に踏み切るかの二者択一に迫られる。

 後期は、架け換えなど「劣化期」に転落しないための最後のとりでで、電気防食や亜硝酸リチウム内部圧入、全断面修復といった高価な工法がLCCで優れる。

 江良和徳技術委員長は「コンクリート構造物の補修工法選定には、劣化のメカニズムなど工学的な判断と、補修後の維持管理シナリオを考慮した時間軸の判断が重要になる。両方を総合的に考えた結果、はじめて適切な構造物の健康寿命を延ばすことができる」と話す。


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