会社探訪記

 地域に根差した企業を不定期で紹介します。

会社探訪記 オバリ 商品PRの看板に磨きを

2022年08月09日 11時00分

アイデア勝負の営業展開

 オバリ(本社・札幌)は、工事看板を中心とした建設現場向け保安用品の製造・販売会社。透明板を使った工事看板「ミエールSL」や、場所の取らない「スリムサインSSL」などヒット商品を数々持つ。社長の小針尚仁さんは「建設会社さんにとって、工事は自社の商品そのもの。看板は建設会社さんの商品をPRする大切なツールで、これからもデジタルサイネージを活用するなどして磨きを掛けたい」と話す。

アイデアと現場ニーズの吸収力がオバリの源泉だ

 現会長の小針英利さんが1989年に「オバリ興産有限会社」として設立した。もともと土木資材商社の営業マンとして北見市内の官庁や企業を回っていて、元号が昭和から平成に変わった年、懇意にしてくれた取引先の勧めもあって独立を決心した。

 工事が発注されると工事標識や看板、工事用黒板は必ず必要になり、自社で工事看板を作って先に売り出せば、他の土木資材も連動して買ってもらえるのではないかと考えた。最初は線画と裁断の両方ができるカッティングプロッターで看板製作を始め、その後、当時の価格で2000万円ほどした日本で3台しかない超大型インクジェットプリンター「ミケランジェロ」を導入するなど設備投資をどんどん進めた。

 客先へ小まめに顔を出しながら現場ニーズをくみ取る、隙のない営業スタイルが特徴。建設現場のイメージアップが重要視され始めた背景もあって、地元カラマツの間伐材を使った看板木枠「ログ枠」は高額商品ながらヒットした。

 尚仁さんは英利さんの長男で、元号が平成から令和に変わる2019年に会社を引き継いだ。1971年9月生まれの50歳。労賃計算ソフトなどを扱う札幌のシステム会社で勤めた後、25歳の時に家業を手伝うことを決めた。

「楽しみながら仕事のできる会社にしたい」と話す小針尚仁さん

 本のページのように左右に開閉することで工事中と休工中の2通りの内容を告知できる「パタ側看板」、自転車かごの板材を応用して倒れにくく後方の視認性を確保したアルミメッシュ看板「ウィンパス」など、英利さんのアイデアは的中。業容は大きくなり、4㌧トラックに乗って全道各地を親子で回る日々が多くなった。96年、現在の「株式会社オバリ」に社名変更する。

 事業のスピード感を高めるため、札幌営業所を06年4月に開設した。半年前から準備室を開設し、尚仁さんが人員や事務所の確保に尽力した。工事保安用品の営業経験者などを招くことができ、新天地での事業は順調に進むと確信していた。

 だが、新興企業としての立ち回りは難しく、相場を下回る価格や無理な納期で受注するなど、当時任せていた担当者の強引な営業が目立つようになった。同業者からは「市場を荒らさないで」と忠告されることも。札幌に赴任した尚仁さんは、父が培った〝北見・オバリ〟とは全く違う体制に危機感を覚え、創業時から大切にしてきたアイデア勝負の営業展開に回帰した。

 北見工大に通いながら尚仁さんよりも早く家業を手伝い、独学でデザインを習得した弟・万里さん(現常務)が商品企画でサポート。蓄光塗料によって夜間のイルミネーション効果もある「イルミウォールサイン」、観光地さながら楽しめる遊び心の持った「顔出し看板」など変わり種を数々生み出した。

 12年に盛岡、14年に関西、17年に関東へ営業所を開設する。この頃、支店に格上げした札幌は仙台銘板やセフテックなど大手商社への卸売りの機能も備え、売り上げは北見の2倍ほどに成長。道内外の流通で地の利がある札幌に本社機能を移し、同時に尚仁さんが専務から社長に昇格した。

 尚仁さんは「デジタルサイネージを研究したい。動画配信は訴求力が高く、建設現場の安全対策やイメージアップでより効果を出せると思う。社員全員が楽しみながら仕事のできる会社にしたい」と話している。


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