千歳市皮切りに社会実装 地崎道路の舗装管理支援システム

2022年08月15日 10時00分

自動車に搭載、劣化度自動測定 乗り心地指標に可視化

 地崎道路(本社・東京)は、自動車に搭載して路面性状を自動検出する舗装管理支援システム「ACTUS&PSSⅡ」を、2023年度から千歳市の市道維持管理を皮切りに社会実装する。車の乗り心地を指標に路面劣化度を地図上で可視化。19年度から進めてきた北見工大、東京農大との共同研究と千歳市での実証事業を経て実用に至った。維持管理の効率化に向け、各道路管理者などに利用を呼び掛けている。

機器を車載し舗装性状を自動測定できる

 国土交通省が提唱するデジタル道路地図に各種データをひも付けたプラットフォーム「xROAD」を応用。東日本高速道路で実績がある「舗装工事発注支援システム(PSS)」は道路ルートを概念化させたマス目に劣化度を示すが、ACTUS&PSSⅡでは色分けしたポリゴンという点をデジタル地図上に打つ。データを直感的に読み取れ、補修履歴情報の付与も可能とした。

 測定には、川村彰北見工大名誉教授の特許技術を生かしたIRI(国際ラフネス指数)ワイヤレス路面測定装置「ACTUS」を使う。車両のサスペンション上下に取り付けた加速度センサーで舗装の平坦度を読み取り、それを路面損傷度として自動検出。あらゆる四輪普通車に搭載できる。

 付属のGPSアンテナで位置情報も捉え、専用の車載パソコンで地図上に10mおきにポリゴンが打たれる。ポリゴンでの表示は、元東京農大教授で地崎道路技術顧問の山崎元也氏が提唱した。

 水準測量に次ぐ測定精度を確保。データには閾値(しきいち)を設定し補修を要する段階を任意に調整可能。カメラも車載して道路を撮影し、点検時の舗装状態映像を損傷度データと同期させられるようにした。システムの構築は地崎道路と北海道地図(本社・旭川)、JIPテクノサイエンス(同・東京)で進める。

 千歳市の市道延長は約750kmで、うち片側2車線の幹線道路しか観測できていなかった。365kmある生活道路は3年に一度、職員が徒歩か自転車で調査。手間が大きく、診断に個人差が生じる恐れもあった。

 システムは買い取り型で、千歳市は1台分を購入し、導入費用は500万円程度。年内に試行する。同市の高橋俊介道路計画係長は「実証では従来の測定方法とデータが大きく変わらず、置き換えが可能と感じた。委託業者に貸与し、道路パトロールの一環で運用できる」と期待した。

 あらゆる舗装面に対応し、空港の滑走路も測定可能。地崎道路北海道支店の山田雄一ICT推進課長は「クラウドを使い、パソコンを持ち込まない測定を来夏に目指している。道央圏を中心に自治体で実績を積み、道や国にも広めたい」と話した。


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