23年度は発注時期前倒し・対象拡大
札幌市財政局は、くじ引き対策として試行した市況連動型失格判断基準対象工事の開札結果を公表した。全6件でくじ引きは発生しなかったが、南の沢5号線生活道路整備は参加者の失格により入札が不調となったため、2023年度の再公告を目指す。今回の試行結果を踏まえ、23年度は対象を下水道にも拡大した上で発注時期を前倒しし、参加者を増やしたい考えだ。
市が発注する工事の一部工種で多発するくじ引きを減らすことを目的とした市独自の取り組み。適正な利益が確保された積算と健全な価格での競争、入札価格の底上げを図る。
市況連動型の失格判断基準は、入札価格の平均値から調査基準価格を算出し、調査基準価格と入札参加者数などから設定。入札結果を基に統計的手法を使うことで相場価格として妥当な範囲を推計する。ダンピング価格での札入れは相場を下回る入札として失格となる。
試行結果を見ると、くじ引きは発生せず、労務賃金へのしわ寄せなどにつながるおそれのある最低制限価格以下の落札はなかった。
一方で、同局管財部の藤瀬弘泰工事契約担当課長は「告示時期が後になるにつれて参加者が減った」と振り返り、「より多くの参加があった方が市場価格抽出の精度は上がる」と分析。23年度は発注時期をさらに早めるほか、くじ引きの発生が見込まれる下水道工事にも対象を拡大して取り組む意向を示した。
22年度試行工事の落札者は次の通り。(カッコ内は参加者数)
◇土木B▽東苗穂15条3丁目2号線生活道路整備=三綱光和開発(10者)▽月寒公民館北1号線生活道路整備工事=剛伸(1者)▽南の沢5号線生活道路整備=不調(1者)
◇舗装A▽北発寒第11号線(北発寒第22号線―道道下手稲札幌線間)舗装路面改良=舗栄建設工業(28者)▽藤野1号線(国道230号―藤野30号線間)舗装路面改良=道央環境(8者)▽福住中央線(国道36号―月寒福住線間)舗装路面改良=鹿島舗道工業(6者)