
小林誠司社長
道内FC店増でBtoC
理想化研(本社・神奈川県相模原市)は、戸建て住宅やホテルを舞台に風呂場のリフォームを手掛ける。新品への入れ替えが主流の中、既存設備を解体せず独自の技術で補修、リニューアルするのが特徴だ。フランチャイズ(FC)化で全国展開し、道内は7店舗が施工を担う。小林誠司社長に本道が持つ市場の潜在性や今後の事業展開について聞いた。
―どういった技術でリニューアルするのか。
独自開発の「エール工法」を用いる。技能としては3つ。バスタブなどにフッ素樹脂コーティングをかける「磨き」、さびや劣化箇所をカラーコーティングで再生する「塗り」、壁や床、天井に貼りものを施す「貼り」だ。
顧客の注文に応じ、これらを組み合わせて施工する。ニーズに合わせ、さまざまな修繕プランを作ることができる。
―どんなメリットがあるのか。
顧客にとっては、出費を抑えられる。戸建てなら1件20万―30万円のケースが多く、新品入れ替えの3分の1から5分の1で済む。工期が短いのも魅力。解体する工程がないため3日程度で完了するケースが多い。
SDGsが注目される昨今では、廃材を出さない利点も大きい。過去20年間の廃棄物削減量は、2万室という施工実績から計算すると4200㌧にもなる。
―リフォームを手掛けるハウスメーカーとは競合しないのか。
共存共栄している。戸建ての場合、風呂は客人を通す場所でないのにリフォーム代が高いと受け止められることが多い。新品入れ替えの受注率は4割程度と言われ、失注したケースでメーカーから依頼されることが少なくない。
―本道を重要な市場の一つと位置付けている。
風呂場リフォームの国内市場規模は、2021年統計で5489億円。うち道内は1割以上を占めている印象だ。
寒冷地のため修繕の需要は高い。バスタブはお湯を張る前後で温度差が大きいと傷みやすいからだ。オールシーズンで仕事の依頼がある。
札幌市内にあるタワーマンションは、早いものだと築15年ほどになる。リフォームの時期に差し掛かるから、今後ニーズが増えるのではないか。
―コロナ禍の影響は。
商品は国内自社生産のため、納期遅れなどもなく顕著な業績で推移している。旅行に行けなくなった分を、風呂場のリフォーム代に回すという事情もプラスに働いた。
―FC化で施工エリアを拡大している。
1999年から加盟店募集を始め、現在は115店に上る。BtoBは「ふろいち」、BtoCは「おフロのプロ」という屋号。道内の7店は札幌市内をはじめ全て道央圏にあり、BtoBのみ扱っている。
「誠実・信頼・感謝」の企業理念を共有できる業者にのみ加盟してもらっている。職人としての技術が高ければいいというわけではない。顧客に心から喜んでもらうためにも、身なりも含め礼儀正しい対応を加盟店には求めている。仕事仲間として、顧客と共に幸福感を分かち合いたい。
―今後の道内展開について見通しは。
BtoCに着手したい。そのためには加盟店を増やす必要があり、道央圏以外の各主要都市にも拠点を置きたいのが本音だ。具体的な加盟店数の目標は定めないが、各地域で地元の店舗として住民に親しんでもらえればと思う。
地方はユニットバスでない在来型が多い。タイル張りは冷却性が高く、ヒートショックの原因にもなり得るため、保温性のある床材へのリフォームなど需要は高いとみている。
(聞き手・塚本遼平、阿部みほ)