ウクライナ侵攻から半年 本道の対ロ貿易拡大

2022年08月22日 19時03分

輸出額が3倍近くに 

 ロシアによるウクライナ侵攻から明日で半年。北海道建設新聞社が財務省の貿易統計を分析したところ、日ロ両政府が相互に経済制裁を実施している中にあっても、本道の対ロシア貿易は大きく拡大していた。特に輸出が全国の動きと逆行して伸び、7月は前年同月比で3倍近い水準に達した。この裏には円安や、経済制裁の意外な影響が関係しているようだ。

 函館税関が公開した2022年7月の速報値によると本道からロシアへの輸出額は19億4900万円で1年前の2.9倍、輸入は116億1900万円で6割強の増加だった。

 輸出の8割以上を占めるのが自動車で、前年同月比では5.1倍。このほとんどがサハリン経由でロシアに流れる中古車とみられる。全国ベースでは経済制裁を機に対ロ輸出が半減し自動車も例外でない分、本道の急増が際立つ。「欧州経由でモスクワ方面に向かう物流ルートが経済制裁で使いにくくなり、日本と至近の極東ロシアからモノを入れようと、本州の輸出業者が道内港を使い始めた」(ロシア駐在経験のある道内の行政職員)。

 中古車は禁輸品に当たらない。ロシアNIS貿易会の斎藤大輔モスクワ事務所長は「ロシアでは欧州自動車メーカーからの新車供給が途絶え、中古車ビジネスが盛んになってきた。日本車は円安で割安感があり、需要がさらに伸びるかもしれない」と解説する。

 一方の輸入は、円安で金額が膨らむ要因もあって、エネルギーや水産品を中心に全国、本道ともに前年水準を上回る。ロシアから本道への魚介類輸入額は7月単月で30億円と3割増えた。

 侵攻直後には日ロ貿易が極端に縮小するとの予測もあったが、約半年が過ぎ、道内でロシア船が減る現象は見られない。ことし1―6月に小樽港に入港した外国船は昨年の同じ期間より5隻多い116隻で、うち41をロシア籍が占める。根室港に入る外国船はすべてロシアからで、1―6月は219隻と前年を3隻上回る。稚内港も前年と同水準だ。

 決済の懸念も一定程度解消されている。春には北海道銀行など多くの金融機関がロシアとの間で送金・着金処理を自粛する動きがあったが、現在、メガバンクを通してやりとりは可能だ。ロシアの有力銀行が国際的な決済ネットワーク「SWIFT」から排除されたものの、ごく一部にとどまる。

 ウクライナ侵攻で始まった相互経済制裁がビジネスの現場に与える影響は、絶対的なものではないのかもしれない。(経済産業部 吉村慎司)


関連キーワード: ロシア 海外市場

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

北海道建設新聞社新卒・キャリア記者採用募集バナー
  • オノデラ
  • 日本仮設
  • 北海道水替事業協同組合

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

川湯温泉で旧宿泊2施設を解体へ 弟子屈町と環境省釧...
2023年01月17日 (13,523)
星野リゾート、川湯温泉に高級リゾートホテル
2023年01月17日 (9,325)
帯広に日本最大級「5737コンナサウナ」 4月オー...
2023年01月27日 (4,560)
川湯温泉の再生を軸に地域活性化 弟子屈町
2023年01月20日 (4,116)
屈斜路湖畔いなせレジャーランド跡にホテル計画
2023年01月18日 (3,732)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓 new

おとなの養生訓
第247回「冷え性」。厚着は逆効果の場合も。全身の血液循環を整えることが改善につながります。

連載 迫る巨大地震

迫る巨大地震
発生が危惧される巨大地震。釧根地域の防災・減災対策を検証する。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第28回「インテリア史の糸口」。椅子ひとつとっても誕生には様々な要因が。歴史は深く語るほど面白いです。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第26回「ヒューマンエラー対処法」職場全体で予防する環境を構築することが多様な人材の活躍につながります。