施工加工率化へ
共成建設(本社・稚内)は25日、豊富町内の農業土木現場でドローン播種(はしゅ)の試験施工を開始した。発注元の宗谷総合局農村振興課の承諾を得て4.22haの草地に牧草の種子をまいている。バッテリーの頻繁な交換などといった課題はあるものの、トラクターやオペレーターの熟練技術、作業人員の削減が見込まれ、ICTを活用した効率的な施工に期待がかかる。(稚内支局・ 石黒俊太記者)

起動した後は自動操縦で種をまく
宗谷総合局農村振興課が発注し、共成建設・佐藤産業共同体が施工する草地整備道草豊富西地区41工区のほ場の一角で実施している。ドローン操縦を担当する共成建設の大須賀悟常務によると、「個人所有の農家などを除くと農業土木事業でのドローン播種は初めてじゃないか」と話す。
播種作業は通常、播種機を装着したトラクターなどの機材を用意したり、積み込み用の人員、オペレーター、トラックのドライバーなどといった人材が必要となる。さらにトラクターによる播種はオペレーターの熟練の技能が求められる。
大須賀常務は「人・物・金が従来のやり方ではどうしてもかかってしまうので、ドローンを使用することで効率化できないかと試験的に始めた」と話す。特に人手不足が叫ばれる中、プログラミングを施したドローンを使用することで熟練者でなくても施工できることにメリットを見いだす。
使用するドローンはDJI(本社・中国)の農薬散布用ドローン。約3m四方の大きさで30㌔ほどのチモシーやシロクローバーといった種子を搭載し散布する。事前にドローンで測量し点群処理したデータを用いて区域確定する。その後、日時や飛行ルート、速度や高度、散布量といった飛行計画をインプットし、現地で起動する。
大須賀常務は「事前のプログラミングなどの時間はかかるが、トラクターによる播種と比べ現場での作業時間や人員は大幅に削減できる」と分析。実際に現場ではドローンオペレーターと補助員の2人で足りるという。施工と並行してドローンのメーカーなどと除草剤散布ノズルの改良といった協議を進めており、より効率的な施工を模索している。
一方で、課題として頻繁なバッテリー交換が必要となることから、作業を中断し、入れ換える手間がかかることや、播種するためのドローンの資格取得の必要性、受発注者双方での法令や機能の理解度向上を挙げる。
大須賀常務は「どうしても建設業は人が足りない。今回の試験施工がうまくいって、全道的な広がりになれば」と期待を寄せる。さらに、「ドローンの活用が若い人たちが建設業に入る入り口になれば」と述べた。