奏でることで森を維持する―。札幌のウクレレ工房「クワイアン」が道産木材を使ったウクレレを製作・販売している。きょう1日には、指板とブリッジに初めて道産桜材を使ったスルーネックコンサート「蝦夷桜」を発売した。同社の宮城英輔社長が「圧倒的な音量、音色で気持ちよく弾ける」と評価する出色の出来だ。
道産材のトドマツやエゾマツの人工林は、植樹から50年ほど経過し高齢化したものが多く二酸化炭素(CO₂)吸収効率の低下が懸念されている。道は森林の人工更新に向け、積極的な木材利用と植樹につなげようとHOKKAIDOWOODブランドを立ち上げ、道産材の普及促進に取り組んでいる。
道産材の音響性能に着目し、2013年からウクレレを製造してきた宮城社長はこの取り組みに賛同。新製品の蝦夷桜からHOKKAIDOWOODのロゴを本体背面に取り入れた。
同モデルは、ボディーとネックが一体となったスルーネック構造で国内のウクレレメーカーでは独自の仕様だ。「楽器の材料には皆、固定観念を持っているが、研究すればいろんな木材で楽器が作れる」との姿勢で道産材の楽器開発に向き合う。
道水産林務部の木材利用担当者は「楽器でHOKKAIDOWOODの使用は初。楽器は木材の付加価値が高くなる上、消費者の身近に感じてもらえるので非常に良い」と歓迎している。
蝦夷桜は道内取扱店舗限定で、8万8000円(税抜き)で販売している。