行政書士池田玲菜の見た世界

 アンパサンド行政書士事務所の池田玲菜代表が、行政書士の視点から連載するコラム。(北海道建設新聞本紙3面で、毎月第1木曜日に掲載しています)

行政書士池田玲菜の見た世界(23)モヤモヤ課題解決方法

2022年09月02日 10時35分

言葉で捉え解決に近づく

 調味料、例えばバターが必要となりました。あなたは、どこで購入しますか?

 激安スーパーマーケットで購入しても、高級スーパーマーケットで購入しても、はたまたコンビニエンスストアで希望小売価格と同額で購入しても、得られるものは、欲しかったバター一つです。

 一方、どの店で購入するかについては、自身の体験にお金を払っていると言えます。数百円のうち、せいぜい2割程度しか変わらない価格差はざらで、手を出すことのできない超高級調味料を片目に見ながらいつものバターを買うか、どれでも同じという諦めた手つきで全国どこでもおよそ配置の変わらないコンビニエンスストアで購入するか―。得られるものは同じものであっても、希望する体験を得られる購入方法を選択しているといえます。

 行政書士が依頼を受けるのは、主に許認可の取得です。一般的な能力を有しているどの行政書士に依頼しても、どこでも買えるバターのように、皆、同じ許可を得ることができます。

 価格はそれぞれです。初めての業務を受任する場合は、インターネットで他事務所の価格を調査しながら、書類作成にかかる時間を想定し、価格を見積もります。事務所ごとに、2割では済まない価格差が生まれています。

 許認可の取得は、マンパワーさえあれば依頼せずに自社内で完了させられるものが多いです。単なるマンパワーの補完であれば安ければ安い方が良いでしょう。高価格帯を設定している事務所が事業を継続している点から考えると、価格だけが依頼の基準ではなさそうです。

 その時に、私たち行政書士がそれぞれ提供している価値は、何なのかといつも考えています。なぜお客さまは、私、またはとある先生に依頼するのか。そして、それに対する明確な答えは見つけられていません。

 成果の面で、行政書士ごとに異なることがあるとすれば、多少の早さの違いと、控え書類とそのファイリングのきれいさ程度です。その違いは、2割以上の価格差、額として数万円の違いを乗り越えられるほどのものではないように思えます。

 先日、懇意にしている社長との雑談の際に、課題を言語化し明確に把握する重要性に話が及びました。何となくモヤモヤしていても課題は解決しない。自分が、今、直面している課題を、突き詰め、言葉をもって捉えることにより、解決に近づくという課題解決方法に互いに共感しました。

 誰に頼んでもほぼ同じ成果が出るものに対して、なぜ自分が依頼されているのか、どのような体験を提供できているのか―。モヤモヤしながらであっても追求し続けることによってのみ、より良い業務の遂行が実現できるのだと思うのです。


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