網走開建 排水路新設・改修など130億円
網走開建は、近年の降雨量増加に対応するため、国営かん排網走川豊住地区の事業化を計画している。新規事業着手地区として2023年度概算要求に事業費1億5000万円を盛り込んだ。採択となれば23年度に測量設計を進め、24年度の着工、35年度の完了を目指す。総事業費は130億円で、排水機場改築1カ所や排水路新設・改修8.3kmなどを進める。
同地区は水稲や小麦などを生産する大空町内の農業地帯。美幌町との町境から網走湖まで網走川左岸に1282ha広がる。国営網走川下流土地改良で1991―02年度に整備した豊住排水機場と豊住排水路ほか2条は、近年増す降雨の流出量に排水能力が及ばず15、16年度と連続でたん水被害が発生。経年劣化による維持管理のコスト増加も課題に挙がる。
対策として新たな排水機場の整備と排水路の改修3条、新設1条を計画。事業費は排水機場改修が48億1300万円、排水路新設・改修が81億8700万円という内訳だ。
排水機場は、既存の豊住排水機場の隣接地に新たに設ける。現施設は平時稼働ポンプ1基と緊急排水ポンプ1基で毎秒5.5tの排水能力を有する。新施設はさらなる能力が求められるため、施設規模は拡大する見通しだ。新たなポンプの基数など詳細は、23年度以降に詳細設計で固める。改築後に現施設は除却する。
排水路は、豊住、豊里、本郷の3条で機能強化する。全て開水路で、主に軽量鋼矢板やコンクリート柵渠で構成している。改修は、護岸の手法は維持しつつ、断面の拡幅や護岸の補修を実施する方針だ。新設は、豊住排水路のうち湖沼ポントーを経由している箇所をバイパス化する。湖沼沿いに1kmを超すコンクリート柵渠を通す想定だ。
事業化となれば23年度に、排水機場など地区の下流域を対象とした測量設計を進める。その成果品を受けて24年度は、排水機場から整備を開始する考えだ。事業期間は23―35年度の13年間をみている。