十勝管内の人口で差が出た。総務省が2022年1月1日現在の住民基本台帳を基にまとめたデータによると、更別村は前年比26人増の3177人で12年ぶりの増加。背景には子育て世帯向けのサービス充実や新団地造成の効果がある。一方で、広尾町は188人減の6359人。減少率は2.8%で管内ワーストだった。町内の建設業者は「公共工事も減ってきて、一人親方などは本当に苦しい」と漏らす。(帯広支社・草野健太郎記者)
更別村は、出生が死亡を上回る自然増が4人。転入届が転出届を上回る社会増が22人だった。子育て世帯向けの村独自アプリや、宅地造成が効果を発揮した。
特に21年から整備を進めていた新コムニ団地は、25区画のうち21区画が埋まった。村によると分譲開始後に応募が集中し、22年に入ってからも1、2件入居があった。子育て世帯も多く、村外からの移住者もいるという。
スーパービレッジ構想の貢献度は高い。アルファコート(本社・札幌)が建設中のサテライトオフィスは首都圏企業の入居が決定。村内外企業の交流を活性化させ、にぎわいを創出する。
構想の背景について、西山猛村長は「今やらないと手遅れになる」と話す。デジタルを使って村民が暮らしやすいまちづくりを進める。人口増については「本当にすばらしい。ただ一喜一憂しないで取り組む」と気を引き締めた。

更別村ではスーパービレッジ構想を掲げ、さまざまな実験を展開する
一方で、広尾町は人口対策に苦心する。自然減が81人、社会減が107人で減少率は管内ワースト。若者の流出に歯止めがかからず、町内からは現状を嘆く声も多い。
町内建設業者の幹部は「以前よりも、町の発注工事は減った」と話す。国や道の入札参加資格を持っていない小規模事業者や、一人親方への影響は大きく「公共事業がないと生きていけない業者も多い」と漏らす。
町によると、建築工事は減少傾向にあるという。担当者は「新しい施設や公営住宅の新設よりは、どうしても補修などが中心になる」と話す。一方で土木工事は、ここ数年発注数に大きな変動はないとした。
民間住宅の建設も少ない。建築などを手掛ける町内建設業者の社長は「体感としては年に10件もない。ほとんどの工事は町外業者が受注している状況」と危機感を募らせる。
一部の業者は「ふるさと納税」の有効利用が必要と提案する。21年9月の赤潮被害を受け、町はふるさと納税型クラウドファンディングを実施。22年2月末から1カ月で目標額100万円を突破した実績がある。
帯広広尾自動車道大樹広尾道路豊似―広尾間の延伸が決まった。町では、将来的な道の駅設置も視野に防災公園を整備する。にぎわい創出の起爆剤として町民の期待は高い。観光資源であるサンタランドの活用なども一つの鍵になりそうだ。