苫小牧港管理組合と石油資源開発は8日、液化天然ガス(LNG)のバンカリング需要拡大に向けたトライアルを道内で初めて実施した。関係者約150人が見守る中、苫小牧港西港区北ふ頭3号岸壁で、LNGを陸上のローリーから海上の船舶に供給。苫小牧港でのLNGバンカリング拠点形成に期待が高まった。

多くの関係者が見守る中、陸上のローリー(右)からLNGを供給した
世界的に船舶の排出ガス規制が強化され、LNGを船舶燃料に導入する動きが進んでいる。LNGは重油を使用しないため、船舶からの温室効果ガス発生抑制や硫黄酸化物の排出量削減が期待される。爆発などの危険性も比較的少なく、安全性の高い燃料だ。
国内ではLNGを燃料に横浜港と大阪港を行き来する船舶が既にあり、苫小牧港管理組合と石油資源開発は2019年2月に苫小牧港LNGバンカリング検討会を設置。苫小牧港を拠点とするLNGバンカリングの実施に向けた課題の洗い出しや解決方法の検討を進めてきた。
トライアルは名古屋港、神戸港、北九州港に続いて、4港目。陸上のLNGローリーから、海上に浮かぶ商船三井保有のタグボート「いしん」に供給した。気密試験やアース、フレキシブルホースの取り付け方、ローリーから船舶への具体的な供給方法などを検証しながら、4.8tのLNGを約1時間かけて積み込んだ。
また、船の性質に合わせた供給方法やLNGバンカリングを実施する際の手続き、必要なインフラなどより実践的な知識や今後求められる課題を把握。検討会で議題に挙がったLNGの今後の需要についても認識を深めた。
平沢充成専任副管理者は「温暖化やCO₂の排出が問題視される中、LNGバンカリングを通して多様な変化に対応したい。今後も苫小牧港で次世代エネルギーを取り入れ、アピールしたい」と同港でのLNGバンカリングの早期実現に意欲を示した。