会社探訪記

 地域に根差した企業を不定期で紹介します。

会社探訪記 サツイチ 積み卸しまで一括対応

2022年09月13日 12時00分

「24年問題」見据え業容拡大を

トンネル工事など多様な現場に資機材を届ける

 1954年設立のサツイチ(本社・札幌)は、運輸業を皮切りにクレーン揚重業や土木関連業、物流業などを通じて道内の建設現場を支えている。ダンプやショベルカー、トラッククレーンに箱形トラックなど多様な車両や重機を取りそろえ、運送から積み卸しまで一貫して対応できるのが強みだ。若手ドライバー確保や〝2024年問題〟を見据えながら業容拡大を目指す。

 同社の祖業は、創業者が1930年代に始めた馬での運搬業だ。54年の会社設立を経て64年に道内初のトラッククレーンを製作し、その後も本州輸送や土木企業買収など事業拡大を進めてきた。

6月に就任した藤田社長

 11年からはクワザワホールディングスの完全子会社となり、同グループの山光運輸(本社・札幌)と札幌アサノ運輸(同)と連携して総合物流サービスを提供。他2社の社長も兼任する藤田聡史社長の下、現在は役員を含めて97人の社員が働く。

 運輸業では屋根鉄骨や水道管などの長尺品、農機具などの重量物を得意とし、主に道内と関東以北で展開。強みはクレーン揚重業との連携だ。資機材の運搬と積み卸しを一手に引き受けられる点が評価され、官公庁などの信頼を得てきた。最近では北海道新幹線の工事も主な現場の一つとなっている。

 そのクレーン揚重業はトラッククレーンを道内で初めて製作して以来、真駒内アイスアリーナやすすきのビルなど全道各地の高層建築に携わってきた。近年もさっぽろ創世スクエアや北海道ボールパークFビレッジ、札幌市内の再開発など大型建築物で実績を積んでいる。

 社内で最大の売り上げを出し、運輸業とともに会社の柱となっているのが土木関連業だ。ドライバー22人、ダンプ23台を抱え、残土処理や骨材販売などで道央圏の工事を支えている。石狩川改修では他社の協力を得て250台ものダンプを動員した実績がある。冬季の除排雪では札幌市内を中心に自治体や町内会、個人宅からも依頼を受けて地域の信頼を得てきた。

 小物や精密機械などの物流業も全国で展開する。17年には白石区内の流通センターに延べ6600m²の倉庫を新設した。荷物の保管と運搬を同じ場所でこなせるようになり、業務効率化につながった。北海道マラソンやライジングサンロックフェスティバルなどのイベントに使う機材や備品の運送も広く担う。

 一方、運送ドライバーの時間外労働時間が規制される〝2024年問題〟では人件費などのコスト上昇が予想されている。佐藤英明副社長は「荷主との折衝を密にしつつ週休2日への対応などを進めたい」と話す。

 若年ドライバーの確保も課題の一つだ。同社では40代が中心で、特にダンプでは勤続数十年のベテランも多い。従業員による人材紹介を奨励しつつ、待遇改善を通じて採用強化を図りたい考えだ。世界的な物価高に伴って燃料や車両のコスト増にも直面するが、価格転嫁はおおむねできていると顧客の理解に感謝を示す。

 年間売上高は17億円ほどだが、22年3月期は道央圏連絡道路の工事に伴う土砂運搬業務が大きく貢献して過去最高の23億円を記録。今後は20億円を計上できる地力を付けるのが目標だ。「当社は地域社会の信頼を得ながら事業を続けてきた。今後も期待に応えられるよう業容拡大を図りたい」と藤田社長は意気込む。


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