8月洪水など情勢変化
函館開建は後志利別川河川整備計画の見直しに向けた検討に入った。8月に発生した洪水などを踏まえ、計画策定時からの情勢変化に対応するため。原案作成に向け、9日に今金町内で第3回後志利別川整備計画検討委員会を開き、学識者らからの意見を聞き取った。
計画は2006年の第1、2回会合を経て07年6月に策定した。大規模な浸水・家屋被害が発生した1962年8月の洪水流量を基準に、洪水を安全に流下させるための河道掘削といった対策を定めた。掘削の進捗率は現時点で97%に達している。
しかし、気候変動による水害リスクが高まっている。今金地点で17年9月に毎秒1320m³、ことし8月には同1300m³の洪水を観測。目標流量の同1200m³を上回り、内水氾濫も発生した。
こうした状況を踏まえ、河川整備計画変更の必要性を審議する第3回会合を開催。委員長には中津川誠室蘭工大大学院工学研究科教授が就いた。
議事で開建は、気候変動による水害リスクの将来予測を説明。年間の平均気温が2度上昇すると、100年に1回の確率の降雨時に洪水流量は1・2―1・3倍、4度上昇すると1・4―1・5倍になると試算した。
氾濫した場合の流域の年間被害額は2度上昇で2倍、4度上昇で4倍になる。市街地のせたな町北桧山区では最大で200億円以上に達するとの試算を示した。
気候変動を踏まえた水害対策の理念として開建は「流域治水」への転換を挙げ、21年3月から進めていることを説明。河道掘削などのハード整備に加え、住民への啓発活動や避難訓練といったソフト対策を組み合わせ、防災と被害低減に努める考えを伝えた。
委員からは「洪水の継続時間が長いと別な被害も起きる。ピーク流量だけに着目するのではなく、データを活用してさまざまな可能性を吟味してほしい」といった声が出た。
次回会合の時期は今後固める。北海道開発局建設部河川計画課の時岡真治課長は「気候変動などを踏まえた目標設定や対策の在り方などを盛り込んだ河川整備計画変更の原案を提示したい」と話している。