土木学会(上田多門会長)は12日、2022年度選奨土木遺産を発表した。全国の土木構造物23施設が対象になり、道内からは室蘭港港湾施設群と標津町の標津橋、足寄町の旧茂喜登牛水路橋が選ばれた。道内での認定はこれで計51カ所となる。
土木遺産の認定制度は、インフラとしての社会的意義や文化的な価値、当時の技術者の先見性や使命感、まちづくりへの活用を広く社会にアピールするため2000年度に創設。交通、防災、農林水産業、エネルギー、衛生、産業、軍事などの用途で整備された土木関連施設で、竣工後50年を経過したものを対象としている。
室蘭港港湾施設群は、1938年度築の南防波堤や27年度築の北防波堤、26年度築の旧大黒島灯台などで構成。東洋一の石炭積出港として日本の近代化と「鉄の街」としての飛躍的発展に貢献した港湾の歴史と技術を現代に伝える。
標津町にある標津橋は62年に建てられた。アーチリブにフィーレンディール構造を持つ国内唯一の橋梁形式で、戦後の北海道の土木技術発展に寄与した。
足寄町の旧茂喜登牛水路橋は、PC技術がまだ黎明(れいめい)期だった58年に建設された。当時国内最大クラスのPC桁を持ち、60年以上にわたって電力の安定供給に一役買った。一部を残す形で保存されている。