港内での畜養・養殖水平展開に前向き 可能性探る
北海道開発局は、道内港湾の静穏域を利用した畜養・養殖の可能性を模索している。奥尻港では2021年11月にいけすを設け、トラウトサーモンを養殖。ことし6月に初水揚げを迎え、「淡雪(あわゆき)」のブランド名で販売した。11月からは円形のいけすを使用して規模を拡大し、試験養殖を実施する。
本道沿岸はほぼ外海に面しているため、畜養・養殖施設は常に高波浪による被害の危険がある。
港内の静穏域に施設があれば、生産が安定するほか漁船の移動距離が短くなり、漁業者の負担が軽減する。
漁業者、桧山振興局、奥尻町などによる奥尻島サーモン養殖協議会が、奥尻港内へのいけす設置を主導。いけすは10m四方でトラウトサーモンの稚魚を放流した。初水揚げで大きいものは65cm、5kgに上った。11月に設置するいけすは、直径20mの円形型を見込んでいる。
開発局は港内の畜養・養殖施設設置の水平展開に前向きな考えを示している。食料安全保障が危ぶまれている今、地方部の産業強化はハード整備と併せ、重要性を増している。