住宅地上昇率10位まで道内 7月1日時点地価

2022年09月21日 00時00分

1位は北広島、札幌の受け皿に

住宅に囲まれ、背後ではBP整備が進む
北広島市美沢1丁目1の3ほか

 道は、2022年7月1日時点の道内基準地価を発表した。林地を除く宅地1001地点の全道平均変動率はプラス1.6%で、21年度に続き上昇した。住宅地は、全国上昇率の1―10位までを道内地点が占め、商業地も6位以外を独占した。低金利政策が住宅地需要を後押ししていることへの期待感などから、全道商業地の変動率が3年ぶりに上昇に転じた。商業地・住宅地ともに上昇率1位は北広島市で、札幌からあふれた住宅地需要の受け皿になるとともに、開業が近づく北海道ボールパークFビレッジ(BP)が恩恵をもたらしている。

 道内の調査地点(基準地)は1019地点で、内訳は住宅地728地点、商業地258地点、工業地15地点、林地18地点。 

 1m²当たりの全道平均価格は宅地4万1300円。うち住宅地は2万2000円で平均変動率は1.8%。新型コロナウイルス感染拡大などを背景に20年度から下落が続いていた商業地の平均価格は9万7300円で0.8%増加した。工業地は1万3600円と、流通用に活用されている地域を中心に増加した。林地はプラス1.7%の1194円だった。

 地価が上昇した地点数は、住宅地が前年度に比べ28地点多い210地点、商業地は8地点多い70地点、工業地は1地点多い6地点あった。下落は、住宅地が30地点減の370地点、商業地が7地点減の159地点、工業地が1地点減の4地点となっている。

 ■BP効果が顕著
 住宅地は、上昇率の1位から3位までを北広島市が占めた。共栄町4丁目8の23はプラス29.2%で1位。続く稲穂町東6丁目1の14と若葉町3丁目3の4はいずれもプラス29.1%だった。このほか10位まで札幌近郊の江別市、恵庭市、石狩市が独占。土地の動きが鈍く住宅地供給不足となっている札幌からあふれた住宅需要の受け皿となることで価格が上がったとみられる。その中で、北広島市がBP効果でさらに価格を伸ばした形だ。

 15年度からトップ10に入っていた倶知安町の地点は圏外となった。21年度に4位だった樺山65の132ほかは94位に低下したものの、伸び率は11%と高水準を維持。ウィズコロナでインバウンドが回復すれば、再び高い上昇率になる可能性がある。

 最高価格は、札幌市中央区宮ケ丘2丁目474の86で、5.3%上昇の1m²当たり35万5000円。建築資材高騰の影響から21年度より上昇幅は縮まったが、過去ピークだった40万円台に近づいている。同地点は34年連続の首位獲得となった。このほか、10位以内にはJR、地下鉄徒歩圏の地点が多くランクインした。

 ■商店ニーズ高く
 商業地の上昇率1位はプラス25%の北広島市美沢1丁目1の3ほか。市役所に近く、幹線道路も通っている立地だ。背後には住宅地が広がっていて、商店ニーズが高まるという期待感が価格を押し上げた。一方、周辺の住宅地と価格に大きな差がないことから、除雪面で有利な道路沿いを住宅利用したいという需要と競合する中で価格が吊り上がった側面もある。2位も同市中央6丁目8の10でプラス23.9%。3位は恵庭市漁町159で22.7%増加した。

 価格上位10地点はいずれも札幌市内で、前年度から順位に変動はなし。トップは札幌市中央区北3条西2丁目1の13ほかの「NC・HOKUSEN北三条ビル」。1m²当たりの価格は30万円増の430万円で、再開発の好影響から21年度より上昇幅が拡大。38年連続全道1位となった。4位となった中央区南2条西5丁目26の17は21年度の伸び率ゼロから、ことしは7.8%上昇と急伸した。狸小路商店街の至近で、今後円安が続いた場合にインバウンド収入の増加が期待できることから、上昇に転じた。

 ■旧産炭地が下落
 下落した地点を見ると、住宅地の1位はせたな町大成区都344で、7.9%下がった。全国でも3位にランクインしている。商業地は上砂川町上砂川町48の6が7.4%減で1位だった。全国でも1位の下落率。このほか住宅地、商業地いずれも10位内は空知管内の旧産炭地などが占めている。

 共通する要因として、人口減少と高齢化の進行による商業地・住宅需要の低下がある。加えて、元の価格が低いため比較的少額の値下がりでも割合として大きく下がることも影響している。

 ■札幌近郊に注目
 人口10万人以上の都市を見ると、札幌市の上昇率は住宅地がプラス11.8%、商業地がプラス7.8%。地点別では全道トップ10には入らなかったものの、高い水準で上昇している。上昇率1位は、プラス19%の清田区里塚緑ケ丘11丁目102の272と同里塚1条2丁目342の121だった。住宅地、商業地ともに下落した地点はなかった。

 小樽市は、1997年度以来25年ぶりに住宅地が上昇に転じた。値上がりが顕著なのは星野町112の200で、14.6%増加。石狩管内にとどまらず、手稲区に隣接している同地区に土地を求める動きが出ている。

 26年ぶりに商業地が上昇に転じた苫小牧市は、拓勇東町4丁目2の12ほかが7%増となっている。宅地開発が旺盛な市東側の地点で、他の地域と同様、住宅が増えてきたことにつられ、価格が上がっている。

 江別市は住宅地が21.7%増、商業地が18.8%増と札幌を上回る伸び。バブル期に札幌のベッドタウンとして整備されたものの価格が下落し続けていたが、札幌近郊の割安な土地として再び注目を集めている。


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