会社探訪記

 地域に根差した企業を不定期で紹介します。

会社探訪記 稚内グリーンファクトリー 農作業受託から風力発電まで

2022年09月27日 11時00分

食料とエネ、稚内から全国へ

 農作業受託から風力発電の開発まで幅広い多角経営を手掛けるのが稚内グリーンファクトリー(本社・稚内)だ。大手エネルギー企業との共同出資事業や一度は休業した酪農を再開するなど積極的に事業を展開してきた。渡辺義範社長は「地元の資源を活用して地域産業をもり立てたい」と語る。

天北エナジーの風車や牛舎群を指す渡辺社長

 同社の主事業は酪農家からの農作業受託だ。一般にコントラクター事業と呼ばれ、牧草の収穫や肥料散布を通じて高齢化や人手不足に悩む地域の酪農・農業を支えている。

 さらに、2017年には新会社のビックグリーン増幌(本社・稚内)を設立。30代で一度は休業した酪農業を再び始めた。酪農家の減少を目の当たりにする中で地域衰退の危機を感じたためだ。

 現在では乳牛800頭を含めて計1700頭の牛を飼育し搾乳量は道北トップクラス。延べ7000m²以上の大型牛舎を4棟そろえ、新たに1棟を建設中だ。自動搾乳機や給餌機で効率化を図っていて、500頭以上を2人のベトナム人研修生だけで管理できているという。

自動搾乳機などで作業効率化を進める

 稚内周辺に堆積する珪藻頁岩(けいそうけつがん)、いわゆる「稚内珪藻土」の販売にも注力する。珪藻土とは植物プランクトンの遺骸が化石化した泥土を指す。吸湿性や脱臭性があり、特に稚内珪藻土は評価が高い。同社は社有地で採取した珪藻土を粉砕・加工し、住宅メーカーのパナソニックホームズ(本社・大阪府豊中市)などに調湿建材の原料として供給している。その量は年間1万㌧にも上る。

 渡辺社長のとりわけ強い思いが結実した事業が陸上風力発電だ。発端は20年以上前にさかのぼる。放射性廃棄物の地層処分を研究する幌延深地層研究センターの計画が持ち上がったことを受け、再生可能エネルギーを普及させるべきとの考えから風力発電に目を向けた。自ら風況ポールを設置して風向きや風速を確かめ、自社開発を目指し始めた。

 しかし、道北は送電網の容量が小さく自由に風力発電を開発できるわけではない。北海道電力に売電する権利をようやく得られたのは12年のこと。3回目の抽選会で念願がかなった。「いつになればうちの山に風車を建てられるかと、10年前までは泣いていた」と渡辺社長は振り返る。

 12年に再エネ大手のユーラスエナジーホールディングス(本社・東京)と共同出資で天北エナジー(同・稚内)を設立。稚内グリーンファクトリーの社有地に3㍗級風車を10基設置し、18年から運転開始した。事業規模は100億円以上だ。

 さらに、21年11月には市民風力発電(本社・札幌)と協働して石狩市と古平町でも全6基の風車を置くなど開発を進めている。

 他社事業にも連携して稚内の風力活用を促している。ユーラスが進める大型風力発電所や新たな送電網の開発では、建設地の提供や地元農家との調整に携わった。地元農家と築いてきた信頼関係から事業全般について協力を得られたという。

 「最北稚内から食料とエネルギーを全国へ」というスローガンの通り、酪農や風力など地元の資源を活用して事業を進めてきた同社。今後も地域経済に貢献しながら、酪農事業の拡大や再エネ促進を手掛ける考えだ。


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