コロナや戦争で資材価格高騰
旭川地方生コンクリート協同組合は、2023年1月から販売価格の改定に踏み切る。新価格は標準物(呼び強度21、スランプ18cm、粗骨材寸法25mm)で1m³当たり税抜き2万3500円となり、22年度当初から4000円の上昇となる。コロナ禍やロシア・ウクライナ戦争に起因する物価高が、地域の資材価格にも影を落としている。

ドライバー不足や燃料代高騰も拍車を掛ける
ロシア産石炭の輸入停止により、セメントメーカーが細かいスパンで価格改定を重ねているのが最大の要因。1年間で1t当たり5000―5500円の大幅値上げだ。燃料高による運送費の高騰、骨材価格の上昇に加え、ドライバー不足などの要因が積み重なり、販売価格への反映を余儀なくされた。
旭川周辺はこの30年で生コン需要が乱高下してきた。1996年には約37万m³あった出荷量が公共事業量の抑制に伴い激減。アベノミクスの影響で一時は盛り返したものの、近年は11万―12万m³と往時の3分の1の低水準で横ばい状態だ。
住宅基礎など100m³以下の小口需要が全体の3割程度と少なくないシェアを占めるが、近年は資材高で新築住宅の着工も鈍化している。斉藤弘光理事長は「このままだと10万m³を割り込む恐れがある」と危機感を募らせる。
同組合では集約化に取り組み、11カ所ある工場を7カ所に絞る共同操業を進めてきた。運送車両の不足問題を回避するため運送会社と各社の個別契約を改め、契約を組合で一元化することも検討。カーボンニュートラルの一環として混合セメントを活用できる設計基準緩和も設計者や発注者に訴えていく方針だ。
しかし合理化の自助努力にも限界があると斉藤理事長は言う。「これ以上プラントを減らすと空白地帯が生じる。安定供給なくして品質保証はできない」と苦渋をにじませる。
値上げに際しては旭川建設業協会など需要者の承諾を得たほか、官公庁など発注者にも最新単価での積算を要請している。既に契約済みの案件が多いため、新価格への置き換えには2年ほどかかる見通しで、斉藤理事長は「契約や販売方法の見直しも必要だ」と抜本的な改革が必要と話している。