札幌での再開発など背景に大手ゼネコン活用広がる
大和リースは、道内で建設関連企業向けの業務アウトソーシング事業を強めている。建設キャリアアップシステム(CCUS)の申し込み代行やクラウド型労務安全書類サービス「グリーンサイト」の入力チェックなどの一部を受注。札幌市内で相次ぐ再開発などを背景に、人手不足を補うため大手ゼネコンを中心に活用が広まっている。
規格建築や流通建築リース、環境緑化など幅広い事業を展開する中、ノウハウを生かしてBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業務を担う事業に2018年から乗り出した。東京、仙台、福岡など全国12拠点でサービスを提供する。
札幌は20年に業務受注を開始。市内で大型民間工事が増えていることを背景に、大手ゼネコンから依頼が多く寄せられている。最初は数事業所の受注にとどまっていたが、今では約100事業所を超える。最近では、技能者の資格や現場での就業履歴などを登録・蓄積し、能力評価につなげるCCUSの登録代行の依頼が増えているという。
札幌市豊平区内に同社が設けた地域交流型施設「BRANCH(ブランチ)札幌月寒」の一画。母親を含む女性中心のスタッフが、電話応対やパソコン入力などの業務をこなす。室内に隣接して子どもの遊び場があるため、いつでも状況を確認できる。
ママスクエア(本社・東京)と連携して業務アウトソーシング事業を展開。イベントの受け付け対応やアンケートなどのテレマーケティング、伝票・入力データチェック、書類のデータ化など幅広い業務を受注している。業務内容や規模、期間など多様な要望に応じる。
建設業者の人材不足は現場作業が注目されがちだが、事務作業を担う職員も足りていないのが現状。札幌市内で相次ぐ再開発や、24年4月に「働き方改革関連法」による建設業の時間外労働上限規制などが適用されることで、人手不足がより深刻化するとみられる。
稲垣仁志大和リース札幌支店長は「依頼者からは現場書類にまったく手が回らないとの話をよく耳にする。業務を委託することでコア作業に、より専念できる環境をサポートしたい」と手応えを感じている。業務は主にリモートで請け負うため、道内外の企業を対象とする。社会変化に対応したビジネスとして広げたい考えだ。