盛り上がれワーケーション~函館市の事例から~

 函館市で首都圏などからのワーケーションの誘致や受け入れといった動きが加速している。魅力的な観光資源にあふれ、宿泊施設も豊富というワーケーションの適地ともいえる土地柄。これを生かして企業立地の促進や交流・定住人口の増加につなげたいと行政は施策展開に本腰を入れる。継続して来てもらうには魅力的で利便性の高い滞在環境の整備が不可欠。企業側も従業員がしばしばワーケーションできる柔軟な勤務体系を整える必要がありそうだ。一過性のものにしないよう、受け入れ地、企業双方に求められる条件を探る。(函館支社・鳴海太輔記者)

盛り上がれワーケーション~函館市の事例から~(中)インテリジェントウェイブ

2022年10月06日 10時30分

コンパクトな都市で地元と交流 安価な長期滞在を

 市内ではもう1社、長期滞在型ワーケーションの実証実験に取り組む企業がある。金融機関向けのセキュリティーシステムなどを手掛けるIT企業・インテリジェントウェイブ(本社・東京)だ。働きやすさ・働きがいの向上や、生産性への効果などを検証している。

緑に囲まれた環境で、リフレッシュしながら仕事ができる
ウェイブ函館(インテリジェントウェイブ提供)

 同社は函館市鈴蘭丘町の臨空工業団地に開発拠点のウェイブ函館を置いている。20年ほど前に開設し、現在は50人近い社員が勤務している。緑豊かで静かな環境が特徴だ。

 実証実験では本社勤務の社員を対象に、市内中心部の短期賃貸マンションで1カ月程度暮らし、ウェイブ函館に通って仕事をするといったスタイルを採用した。「ホテルだと出張の延長線上を出ない。地域で暮らして地元の人とも触れ合ってもらい、非日常を味わってほしい」(丸山康三経営管理本部副本部長兼人事部長)との思いを込めた。

 実験に参加した第一システム本部第三部に所属する開発職の小泉貴矢さんは、五稜郭地区の短期賃貸マンションに滞在した。

 函館は「観光地と人が暮らす地域のバランスが良いコンパクトな都市」で、仕事をしながら観光するのに適しているとの感想だ。普段はテレワークで、人に1週間会わないということもしばしば。函館では主要な観光地を巡ったり、地元の人と話したりしながら心身ともにリフレッシュできたという。

 その一方、市内には短期賃貸マンションのように安価で長期滞在できる施設が少ない点が課題として残った。実験をしたのが夏場だったこともあり、確保が難しかったとしている。

 また「営業職や客先に常駐するエンジニアなど、勤務地から簡単に離れられない従業員もいる」と丸山副本部長。短期のワーケーション導入など、社員間の平等性をどう確保するかも今回の実証実験を踏まえて検証する考えだ。


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