地方創生ベンチャー・そらの米田健史社長に聞く

2022年10月20日 09時00分

事業をつくれば人材が集まる

 中札内村のフェーリエンドルフ内にオープンした温泉施設「十勝エアポートスパ そら」が、7月の開業からわずか約1カ月で1万人を突破するなど好調だ。運営を担う地方創生ベンチャー・そら(本社・帯広)が、ふるさと納税型クラウドファンディングを活用し、とかち帯広空港に近い場所で新築。「さまざまな事業をつくれば、必要に応じた人材が十勝に集まる」と説く米田健史社長に十勝経済活性化に向けたヒントを聞いた。(帯広支社・草野健太郎記者)

米田健史社長

 2020年4月の設立時に3人だった従業員数は、グループ会社合わせて80人にまで成長した。米田社長は東京都で生まれ育ち、北大法学部への進学を機に北海道の魅力に触れた。学生時代は道内を巡り、特に十勝の空気が肌に合った。「どこまでも続くきれいな青空が好きになった」と回顧する。卒業後は野村証券(本社・東京)に入社。錦糸町、横浜支店などの勤務を経て20年3月に退職し、4月にそらを立ち上げた。

 十勝経済について「食を基盤に活気がある」と評価。その上で「(事業承継が)うまく行かず黒字破綻するケースも少なくない中、十勝管内は比較的後継者がしっかり跡を継いでいる印象がある」と話す。

 特に、とかち帯広空港を核にした観光に可能性を抱く。陸路と比較しても観光客の幅が広がる。「道外客にスポットを当てるなら空港が近い方がいい。中札内村や更別村は観光面で好立地」という。

 「十勝エアポートスパ そら」は、子会社のふく井ホテル(本社・帯広)から温泉を運び込むことで実現した。とかち帯広空港から車で15分程度の距離に加え、10回で3000円の回数券が好評だという。

 23年4月には、高級コテージの近くにレストランをオープンする予定で、「ちょっとしたぜいたくを提供できれば」と期待する。

 十勝での起業家支援にも力を注ぐ。21年3月末に山忠ホールディングス(本社・音更)と合同会社コントレイルを設立。これまでに30―40件の相談に応じた。「5年で5件事業が起きればいい」と見解を示す。

 これまでに出資したのは1件。UIJターン求人専門のウェブサイトを立ち上げる個人事業主の北川宏氏に出資した。移住促進につながり、十勝が活性化する事業スキームを評価した。

 起業から2年半。〝なぜ十勝〟を〝だから十勝〟に変えたいと奮闘するそらの挑戦は続く。

 米田健史(よねだ・たけし)1986年3月5日生まれ、東京都出身。北大法学部卒業後、2009年に野村証券入社。18年にとかち帯広営業所配属後、20年3月に退社。同年4月にそらを設立。

関連キーワード: インタビュー 入浴施設 十勝

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