道内で不動産証券化が浸透 ビル建て替えを後押し

2022年10月21日 08時00分

来春に「北海道リート」開始

 道内で不動産証券化が浸透しつつある。2030年度の北海道新幹線札幌延伸やインバウンド効果によるホテル、オフィス需要の高まりを受けてここ10年で増加。23年春には道内物件に特化した不動産投資信託(REIT)「北海道リート」が運用開始することから、さらなる活性化が見込まれる。札幌をはじめとする老朽化ビルの建て替え需要などを契機に投資家が北海道に目を向け始めている。

 不動産証券化は企業の資金調達手段の1つだ。企業が持つ保有資産をREITに譲渡することで譲渡代金を取得。REIT側は物件の利回りや信用力を元に投資家から資金を集める。

 近年、不動産の流動化は資産をバランスシートに計上しないオフバランス化として注目。主な例として西武ホールディングスは、コロナ禍による業績不振を理由に、保有するホテル、レジャー事業の一部資産を売却して経営の効率化を図ったことで話題となった。

 星野リゾートは、保有資産を星野リゾート・リート投信法人に委ねることで、ホテル運営に特化。投資家から集めた資金を元に次々と新規事業を展開している。

 国土交通省がまとめた21年度不動産証券化の実態調査によると、全国の資産化物件数は11年の258件から21年には3・6倍に当たる927件に大きく拡大。対象物件はオフィスビルが多くを占め、住宅や物流施設、ホテルが続いている。

 増加の背景にはアベノミクス効果やインバウンドの増加によるホテル開発の過熱で、リーマンショック後から景気が上向いたことがある。金融緩和も後押しし、REIT市場が安定した利回りを確保していることも理由の一つに挙がる。

 北海道は11年に4件と低水準だったが、ホテルを中心に事例が増え始め15年には25件となった。20年はコロナ禍で9件まで落ち込んだが、ウィズコロナで景況感が回復したことで、21年は25件と盛り返している。

 事例数の多い札幌市内では、駅前通沿いや大通エリアなどで築40―50年のオフィスビルが多く、未耐震の物件も目立つ。資金不足を理由に老朽化ビルの更新が進まないケースが出ていて、不動産証券化は打開策となる。

 日本不動産研究所の石川勝利北海道支社長は、首都圏と比較して道内は投資家が興味を示すような物件が著しく少ないと指摘する一方、「新ビルに生まれ変わるのであれば、投資家から理解を得られる可能性は高い」と話す。札幌中心部で再開発が盛り上がる状況は、不動産投資を呼び込む好機と捉える。

 北海道リートの存在は今後、道内で不動産証券化が浸透する鍵となる。スポンサーは岩田地崎建設や伊藤組土建、日動、ニトリホールディングス、藤井ビル、北海道電力など道内の主要企業20社で構成。地元企業や自治体が保有する不動産の有効活用と地方都市のまちづくり投資を促す狙いがある。

 北海道リートの資産運用を担う北海道アセットマネジメント(本社・札幌)の担当者は「地元企業が持つ不動産を証券化して、道内で資金を循環するのが地域特化型リートの目的。証券化の仕組みを使って、建て替え資金に悩むビルオーナーと共同事業で開発することもできる」と説明。不動産証券化は複雑なスキームのため、敬遠されがちだが、コンサルティングの立場で地元事業者を支援する。

 最近では、北海道リートに関して不動産関連団体や地方自治体からのセミナー依頼や相談が多いという。

 道内での開発事業は、投資家の重い腰を上げさせるものになるか。土壌が整いつつある中、関係者は期待を膨らませている。


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