深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り 北海道エアポート 蒲生猛社長

2022年10月27日 12時00分

蒲生猛社長

ビジネス航空需要回復へ

 コロナ禍で落ち込んだ航空需要は、観光客が徐々に回復する一方、ビジネス客の戻りが鈍い。道内7空港を運営する北海道エアポート(本社・千歳、HAP)の蒲生猛社長(66)に需要回復の方策や脱炭素の取り組み、今後の設備投資への考えを聞いた。

 -利用状況はどうか。

 行動制限が解除され、国内線の夏は回復傾向だった。冬にかけて旅行支援策といった動向を注視したい。国際線は新千歳空港で仁川線など一部路線が再開した。国際情勢の問題もあり他地域の再開は難しく、道内他空港での復便もまだ見込めない。

 新千歳空港を利用する半分以上が関東との移動だが、ビジネス客が戻っていないと感じる。例えば、福岡県の経済は底堅く人の動きがある一方、北海道は観光客が戻ったとしても脆弱(ぜいじゃく)さが影響し、人の動きは減ってしまう。ビジネス客は経営の基本となるため、7-8割程度しか戻っていないと影響が大きい。

 -ビジネス客を戻す方法は。

 札幌近郊で仕事した後に観光を楽しむツアーの実施やテレワークを北海道で取り組めないか航空会社と考えている。コロナの流行で仕事の形態が変化したため、ビジネスと観光を組み合わせた新たな需要をつくりたい。

 -脱炭素に積極的に取り組んでいる。

 2021年度に国土交通省がCO₂の排出削減を進める重点調査空港に選ばれ、22年度は新千歳空港での水素利活用モデル構築に関する調査をNEDOから受託した。いずれ水素ステーションを設置する可能性もあるが、HAP単独での投資は厳しく、国の助成活用や他事業者との連携が望ましい。新千歳空港で想定する太陽光パネル設置に関しては、これから推進計画を作る。他にも、CO₂削減のほか災害時の非常用電源確保の観点で蓄電池に関心を寄せている。

 -投資の見通しを。

 22年度の設備投資額112億円のうち、8割を滑走路などの更新投資に割いていて、23年度もそうなるだろう。活性化投資では保安検査場を見直し、国内線利用者の負担軽減を図る。

 新千歳空港は完成から30年だが、ほとんどのターミナルビルは40年。いつまでもこのままではいけないと思っている。北海道新幹線札幌延伸の影響は分からないが、冬季五輪が札幌で開催されたら新千歳空港がメインゲートになる。セキュリティーの面でも空港建て替えを考えなければならない。北海道の空港はこうなっているとショーケースのように世界中の人に見てもらえるようにしたい。

 -空港の在り方は。

 稚内市は空港が無ければ市民生活の維持に影響があり、女満別空港も知床の観光船事故で各機関が利用するなど社会的な役割を担った。北海道の空港は利用目的を観光やビジネスでくくることはできず、地域の存続に関わっている。

 感染症流行で厳しい状況だが、空港所在自治体には航空機の利用補助など目に見える形で支援を受け、空港や地域が元気になるよう工夫を凝らしている。HAPが自治体や関係機関をつなぎ、付け焼き刃ではなく将来につながる施策展開を一緒に考えるつもりだ。

 (聞き手・瀬端のぞみ、高田陸)

 蒲生猛(がもう・たけし)1956年5月25日生まれ、仙台市出身。81年北大卒業後、旧運輸省入省。航空局大阪航空局長などを歴任。15年10月国土交通省を退職。北海道空港顧問、専務を経て19年9月から現職。

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