極限のかんな薄削り競う 全国削ろう会道いわみざわ大会

2022年10月23日 09時00分

極限の薄削りに挑む若手大工

 全国削ろう会第38回北海道いわみざわ大会が15、16日の2日間、岩見沢スポーツセンターで開催された。若手大工らがかんなの薄削りを競うため全国から集結。一般、学生、女性、五寸かんなの4部門に197人が参加し、1000分の1mm単位の極限の薄さを競い合った。

 同会は、毎年会場を変えて開催。かんなで薄削りを競い合い、大工同士の交流を深めている。

 道内での開催は、2003年の小樽大会以来2回目。今回は地元の武部建設(本社・岩見沢)の武部豊樹社長が大会長、船田慎人棟梁(大工ネットワーク北海道代表)が実行委員長を担当。武部建設からは若手大工を中心に13人が出場した。

 開会式で削ろう会の谷和雄代表は「職人の技を感じてほしい」とあいさつ。初日は薄削りの部(一般の部、女性の部、学生の部)の予選と五寸かんなの部の決勝、2日目は薄削りの部の本戦。削り材は薄削りの部の予選がヒノキ材(北海道枠はスプルス材)で、決勝は一般が道産カラマツ材、女性と学生がヒバ材、五寸かんなの部は道産カラマツ材だった。

 参加者は刃先を調整しながら薄削りをスタート。力加減に注意しながら、真剣なまなざしで自分が一番良いできだと思う薄さまで削り続けた。決勝は制限時間が5分。観客が見つめる中、出場者の緊張感が伝わった。

 1位は、薄削りの部の一般が、近藤孝則さん(愛知県)、女性が佐藤さくらさん(同)、学生が渡辺匠智さん(新潟県)、五寸かんなの部は栗原郁夫さん(千葉県)。

 地元開催の北海道枠では、予選で好成績を残した武部建設の有ノ木巧さん、柳原万智子さんが一般と女性の各部で1位、道立札幌高等技術専門学院2年生の野呂夏鈴さんが学生の部で1位になった。

 薄削りの学生の部で1位の渡辺さんは13歳の中学1年生。今回の大会で3連覇を達成し「もっと技を磨きたい」と満面の笑みを浮かべていた。

 大会には多くの市民が来場。かんなの薄削りデモンストレーションやかんな削りの体験ワークショップが実施された。

 15日には現代の名工に選出された鵤工舎(本社・栃木)の小川三夫棟梁が、弟子の育成、大工の仕事の作法、人を育てる心構えについて、若手大工と対談した。

 船田実行委員長は「切磋琢磨(せっさたくま)して技能を競い合うことはかけがえのない財産になったはず」と断言。武部大会長は「熱気あふれる大会になった。子どもや学生が大工の技能を間近で見て、将来の職業選択の一つに考えてもらえたら」と話していた。


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