27日から11月9日までは読書週間。2022年は「この一冊に、ありがとう」を標語に本を読むきっかけをつくったり、家庭文庫や職場文庫の充実を促す。土木・建築がテーマの書籍を中心に最近の本事情を見た。
楽天グループがオンライン書店「楽天ブックス」で実施したアンケートの結果によると、回答者7326人のうち本を毎日読む人は28.7%で、うち8割以上が自身の生活を「とても充実している」と答えた。本を毎日読む人は全く読まない人に比べて「生活が充実している」と回答する割合が約20ポイント高く、より幸福を感じる傾向にあることが分かったという。
全国建設研修センター(本部・東京)は、土木の仕事を広く知ってもらうため、小学校や図書館に「土木の絵本シリーズ」を無償提供する。うち第5巻は、日本で初めてコンクリート製の外洋防波堤を小樽港に建設した広井勇先生などを紹介。現在は全巻在庫切れで、ホームページ上のPDFデータを通して読むことができる。
土木学会は、土木技術者も読みたい児童書として、福音館書店(本社・東京)の「たてる こうじのえほん」や偕成社(同)の「のっぽのスイブル155」などを紹介する。うち福音館書店の「かわ」は1966年初版のロングセラー絵本で、源流から河口までの流域の姿を見開きページいっぱいに書き込むなど、自然と人間の営みを細部まで表現する内容になっている。
成山堂書店(本社・東京)は、「隈研吾 鎌倉に小さな英国アンティーク博物館をつくる訳」を出版した。鎌倉鶴岡八幡宮から徒歩1分の参道にオープンした博物館で、設計は隈研吾氏が担当。書籍では、鎌倉と英国と隈氏の知られざる関係などを紹介する。
山川出版社(本社・東京)編集部の本多秀臣さんは「60年前と現在の世界地図 くらべて楽しむ地図帳」を勧める。老舗教科書発行会社の二宮書店から1962年に出た貴重な地図帳と現行版を見比べながら、60年間に起きた世界の変化を体感できる書籍。最も大きい変化があったのはロシア周辺で、2時点の地図帳を眺め比べれば現代世界への理解がより深まると説いている。
恵庭で活動するサークル「男声読み聞かせ隊ウィズ・ミズ」は、迫力のある男性の野太い声を生かして、怖い話の絵本や紙芝居を子どもたちに読み聞かせる。2009年に読書推進運動協議会から野間読書推進賞を受けたほか、12年は読書活動優秀実践団体として文部科学大臣表彰を受賞した。会員の高齢化が進むものの、楽しみに待つ子どもたちのために存続しなければと熱く燃えているという。