ゲーム開発や地方創生を手掛けるカヤック(本社・神奈川県鎌倉市)は、子会社設立を皮切りに札幌での事業展開を強める構えだ。10月下旬に秋元克広札幌市長を表敬訪問した柳澤大輔CEOは、官民連携にも期待を寄せた。札幌の事業やまちづくりへの考えを聞いた。(建設・行政部 高田 陸記者)
―7月に札幌で子会社を設立した。
3DCG制作のカヤックポラリスは東北以北で初のグループ拠点だ。当社はエンターテインメント領域やメタバース、拡張現実(AR)・複合現実(MR)などに注力しているがクリエーター不足の現状がある。札幌は教育機関が多く、人材豊富な点を魅力と考えた。ゲーム制作会社が多いため人材を集めやすい利点もある。
クリエーターという職種には多様な場所で働きたい人が多い。拠点が沖縄や福岡から北海道まであれば地方勤務を望む従業員の受け皿にもなる。
―札幌の人員規模は。
ポラリスでは既に5人の採用を決めた。これからの3年で30人体制を目指す。今後、札幌から少し離れたところに拠点を増やす可能性もある。
札幌周辺に限らず、人との縁が生まれれば他地域での事業展開はあり得る。道内企業から声を掛けていただくことが楽しみだ。
―札幌市との官民連携の可能性は。
拠点を置いた以上はまちづくりに貢献するというミッションもある。ポラリスにある程度の人数が集まれば、まちづくりに携わるチームをつくるなど連携を期待できる。
―本社のある鎌倉でもまちづくりに取り組む。
優れた建物を残すため、子会社の鎌倉R不動産がリノベーションなどに取り組んでいる。画一化されて街並みがつまらなくなるのを避ける狙いだ。
―道内では高齢化や人口減が進む。まちづくりへの考えは。
人口が数千人から1万人程度の自治体では、優れた建築家らキーマン1人、2人が移り住んで努力するだけでまちは一気に良くなる。建築の役割は本当に大きい。当社の移住スカウトサービス「SMOUT」でキーマンを募るなど人を呼び込むのは手伝えるところだ。
小規模自治体では建設業者が(管内で)売り上げ最大という場合が多い。まちづくりでは彼らのコミットメントも非常に重要ではないだろうか。