「現場の黒子」処理方法提案
ニワコーポレーション・バイオ(本社・札幌)は、油の汚染調査と浄化コンサルを手掛ける技術会社。1996年設立と業界で長いキャリアを持ち、顧客のニーズに合った効果的な処理方法を提案しながら現場の良きアドバイザーとして支持されている。

ニワコーポレーション・バイオの庭本社長
庭本克彦社長は1952年生まれの70歳。石油メジャーを中心に欧米でガソリンスタンドの土壌汚染対策が進む一方、日本は法整備が途上にあり、将来的な市場の広がりを予想し、96年に起業した。バイオ製剤を中心とした浄化方法を学び、米国製オイルスポンジなどを扱うバイオ・ジェネシステクノロジージャパン(本社・東京、現在のコスモ・メディカル社)の道内統括代理店として活動するようになる。
取り扱うオイルスポンジは、床や路面などにこぼれた油などを吸着・分解するバイオ処理材。オイルスポンジの中のバクテリアが、吸着した油類を条件によって3―6カ月で水と二酸化炭素に分解する。国土交通省のNETIS(新技術情報提供システム)にも登録している。
環境省が油汚染対策ガイドラインを2006年に作り、国内でも公共施設や工場、ガソリンスタンドなどで漏えい対策が叫ばれるようになる。それまで油漏えいした土壌の浄化は、きれいな土に入れ替えたり、汚染土を焼却処理するなど費用がかかった。ニワ社は事業者の負担を減らすため、微生物による環境修復「バイオ・レメディエーション」を地崎道路(本社・東京)などと提唱する。
バイオ・レメディエーションは、微生物や植物など生物が持つ化学物質の分解・蓄積能力などを利用し、汚染した土壌、地下水などを浄化する技術。バイオ・ジェネシス社などが取り扱うバイオ浄化技術は、11年に環境省のバイオ・レメディエーション利用指針に適合していることが認められ、工場やガソリンスタンドなどで活用が進む。

微生物を利用して汚染土壌を浄化する
17年には、産業廃棄物処理業のエコロジーシステム(本社・札幌)が石狩湾新港で手掛ける土壌向け中間処理施設「バイオ浄化センター」の開設に技術協力した。7度の低温でも活性化するコールドバイオと呼ばれる微生物を用いることで、季節を問わず鉱物油に汚染された土壌を再生土壌として処理できる。最終処分場の埋め立て量の削減が求められている昨今では、画期的な施設だ。
土壌汚染対策法の施行から20年近くが経過し、内殻に鋼板、外殻にFRPを使用した二重構造の地下タンクがガソリンスタンドで標準仕様になるなど油汚染対策への理解は公共施設や商業施設で浸透した。しかし、北海道は暖房用で灯油や重油を使う施設が多く、特にマンションなど民間施設の老朽化対策は道半ばにあり、ニワ社に知見を求めるオーナーや施工会社はいまだ多い。
庭本社長は「顧客の費用負担をできるだけ少なくするよう、誠実で的確なコンサルティングが信条。こらからも現場の黒子として行政とオーナー、施工会社の調整役として適切な土壌浄化を進めたい」と話している。